弁理士になれば食いっぱぐれることはない?現役弁理士がリアルに解説します。

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弁理士=安定?本当に“食いっぱぐれない”職業なのか?

「弁理士って、なんだか安定してて食いっぱぐれなさそう。」

そんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

私は現在、企業の知財部で弁理士として働いている現役の弁理士です。弁理士試験に合格したのは2022年、メーカーの開発職から異動して、知財の世界に飛び込んだ経験があります。

実際に知財の現場で働き、弁理士の先輩方とも多数関わる中で、「食いっぱぐれないか?」という問いに対するリアルな答えを体感してきました。

この記事では、弁理士としての実体験や、周囲の弁理士仲間の声も交えながら、以下のような疑問に答えていきます。

  • 弁理士って食いっぱぐれないって本当?
  • AI時代でも仕事はあるの?
  • 特許事務所と企業、どちらが安定?
  • 年齢を重ねても仕事がある?

「弁理士=食いっぱぐれない」という神話の真相に、現場目線で迫っていきます。

第1章:そもそも「弁理士は食いっぱぐれない」と言われる理由

専門性が高く代替が難しい資格だから

まず、弁理士が「食いっぱぐれにくい」と言われる一番の理由は、その専門性の高さです。

弁理士の仕事は、特許・実用新案・意匠・商標などの産業財産権に関する出願・権利化手続きの代理です。たとえば、特許出願に必要な「明細書」を書くには、技術の理解力、法律知識、そして表現力が必要とされます。

このような業務は、簡単に他の職種に置き換えられるものではありません。

実際、私が知財部に異動した直後、周囲の人たちが口を揃えて言っていたのが、

「弁理士は食いっぱぐれないよ。技術があって法律もわかる人なんて、そうそういないから」

という言葉でした。

もちろん資格があるだけで全てが保証されるわけではありませんが、「弁理士資格+実務経験」があると、企業でも特許事務所でも「欲しがられる人材」になれるのは事実です。

第2章:弁理士でも“食いっぱぐれる”ケースがある?

弁理士は専門職で安定した職業というイメージが強い一方で、「弁理士でも仕事がなくなる」「収入が減った」という話も確かに存在します。ここでは、実際に私が見聞きしたリアルな事例を交えながら、“食いっぱぐれる可能性がある弁理士”の特徴について解説していきます。

① 旧来型の“代書屋”に留まってしまったパターン

ある特許事務所の元弁理士の方と話をする機会がありました。彼は長年、明細書の作成を中心に業務を行っていたベテラン弁理士。しかし最近は仕事が激減し、事務所をたたんで企業に再就職されたそうです。

その方がおっしゃっていたのが、

「昔は出願すれば通った。でも今は、技術の理解が浅いと企業の要望に応えきれないし、AIの下書きをそのまま仕上げるような弁理士は淘汰される時代になってきた」

という言葉。

つまり、単なる“代書屋”から脱却できない弁理士は、徐々に厳しい立場になるということです。

② 最新技術への対応ができない

特に最近は、生成AI・量子コンピュータ・バイオテクノロジーなど、技術の進歩が加速度的に進んでいます。

私自身、知財部でAI関連の案件に関わった経験がありますが、技術背景を理解していないと明細書のチェックすら難しいと感じることがありました。

特許明細書は技術の塊です。IT・AI・IoTなど、時代に合った分野にキャッチアップできないと、依頼そのものが来なくなります。

実際、企業からの発注先の選定でも、

「最近はバイオ系の出願が多いから、その分野に強い事務所じゃないと頼みにくい」

と話していた開発部門のマネージャーの声も印象的でした。

③ コミュニケーション力が極端に低い

これは意外と盲点ですが、弁理士も「接客業」です。

企業の発明者と信頼関係を築き、技術を正しく聞き出して、適切に特許に落とし込む。そのためには、相手の話を聞く力、質問力、説明力が必要になります。

特許事務所の若手弁理士の方と飲みに行った際、こんな話を聞きました。

「いくら明細書が上手でも、発明者とうまく話せない弁理士は評価されにくい。逆に、ヒアリングがうまくて信頼される人は、仕事が途切れないです」

つまり、“技術×法律”だけでは足りず、“人間力”も大きな武器になるということですね。

第3章:企業?特許事務所?どこにいれば食いっぱぐれない?

弁理士として働く場には、大きく分けて「企業内弁理士」と「特許事務所勤務弁理士」があります。どちらがより“食いっぱぐれにくい”のか?それぞれの特長と、私自身の実体験、周囲の弁理士仲間の話を交えて解説します。

① 企業内弁理士:安定性は抜群、だが成長は自分次第

私は現在、メーカーの知財部で企業内弁理士として働いています。異動前は開発職でしたが、弁理士試験合格後に社内で異動が叶い、知財業務に就きました。

企業内弁理士の最大の魅力は、やはり収入や福利厚生の安定性です。

  • 給料は月給+賞与で安定
  • 失業リスクは少ない
  • 社会保険、退職金、住宅手当など手厚い

実際、同じように企業で働く弁理士仲間も、

「家族がいるからこそ、企業勤務は安心できる」

と話していました。

ただし、企業内は“待っているだけでは成長しにくい”環境でもあります。

出願件数が少ない部署だと、明細書作成の機会が減り、スキルが伸び悩むという話もあります。私も最初の頃は、出願業務よりも調査・契約・係争対応などが中心で、物足りなさを感じる時期がありました。

つまり、「安定して働けるけど、成長は自分で工夫しないと止まってしまう」というのが企業内弁理士のリアルな姿です。

企業知財部の仕事についてはこちらでご紹介しています。

② 特許事務所勤務弁理士:成長機会は多いが、実力主義

一方で、特許事務所で働く弁理士の方々は、実力次第で稼げる環境です。

  • 明細書を何十件も書くチャンスがある
  • 技術分野やクライアントに応じて経験値が増える
  • 出願件数に応じた歩合給制度のところも多い

私の知人で、30代後半で年収1000万円超えの事務所弁理士がいます。彼は大学で電気工学を学び、特許事務所に10年以上勤めています。

「技術が分かれば明細書は書けるし、実力でどんどん収入は上がる。もちろん、サボれば収入は激減するけどね(笑)」

と話していました。

ただし、特許事務所はクライアントとの関係や出願件数に収入が大きく左右されるため、景気の波に左右されやすい面もあります。

  • 景気悪化で出願件数が減れば、収入も減る
  • AIツールによる明細書の自動化が進むと低価格競争になる

このような状況に対応できる弁理士でないと、“稼げる”どころか“仕事がない”という状態になりかねません。

③ どちらが食いっぱぐれにくい?

結論としては、「安定」を重視するなら企業、「実力で稼ぐ」を目指すなら特許事務所が向いています。

そして、“食いっぱぐれない”弁理士になるためには、どちらの環境にいても、

  • 技術に強くなること
  • 法律知識を磨くこと
  • 人とのコミュニケーション能力を高めること

この3点を意識することが重要だと、私は実感しています。

転職情報についてはこちらで解説しておりますのでご参照ください。

第4章:AI時代の弁理士、生き残るために必要な力とは?

ChatGPTや生成AIが普及する中で、「このままでは弁理士の仕事がAIに取って代わられるのでは?」と不安を抱く方もいるかもしれません。実際、私も初めてChatGPTで明細書のサンプルを生成したとき、その完成度に驚きました。

しかし、AIが発展する中でも、「食いっぱぐれない弁理士」には確実に必要な能力が見えてきます。

① AIでは対応しきれない“戦略設計力”

特許出願は単に明細書を書く作業ではなく、**「どうすれば競合を出し抜けるか」「将来の製品展開にどうつなげるか」**という戦略が不可欠です。

例えば、私が企業内で関わった案件では、製品のコア部分をあえて請求項から外し、別の特許で囲い込むという“二段構え”の出願戦略を提案したことがあります。

このような全体設計は、企業の意図や市場動向、他社の特許網を踏まえた判断が必要であり、AIではまだまだ難しい分野です。

私の知人の弁理士も言っていました。

「クライアントが本当に求めているのは、“AIに書ける明細書”じゃなく、“市場で勝つための特許”だよ」

つまり、AIがいくら明細書を書けるようになっても、それをどう使うかを考える力がある弁理士は、むしろ重宝されるのです。

② 明細書の「良し悪し」を判断する“読解力”

AIが明細書のドラフトを出してきたとしても、それを正確に評価し、修正すべきポイントを見極める力が求められます。

たとえば、AIが出力した明細書にはありがちな弱点として、

  • 発明の効果が抽象的で、技術的意義が弱い
  • 実施例が少なくて実施可能要件に抵触するリスク
  • 請求項が過剰に広く、拒絶理由が出やすい

などが挙げられます。

私はChatGPTを試しに使って、実在する案件と似た構成要素を入力してみたことがあります。その結果、「なんとなくもっともらしいが、肝心な部分が弱い」明細書が出てきました。

結局は“人間が読んで、技術と法の両面から判断する”能力が必要なのです。

③ クライアントに“信頼される”人間力

AIがいくら進歩しても、発明者は「この技術はどう守ればいい?」「どこまでが特許になる?」といった疑問を人に聞きたがります。

企業の開発者や研究者は、弁理士を**“相談相手”“参謀役”**として見ています。

ある企業の知財部で働く同期と話したとき、こんな話を聞きました。

「外注する弁理士さんを選ぶとき、やっぱり“この人なら任せられる”って思えるかどうかが一番大事」

このように、人との信頼関係が築けるかどうかで、AI時代にも生き残れるかどうかが決まるのです。

④ 英語力と国際感覚

将来、AIを活用しながらもグローバルに活躍する弁理士が求められるようになります。

私はHuluでの英語学習を趣味にしていますが(笑)、実際、英語での特許明細書の読み書きや、外国代理人とのやり取りは頻繁に発生します。

特にPCT出願や米国出願に携わる場合、英語でのコミュニケーション力は“武器”になります。

「英語ができる弁理士」というだけで、企業からのニーズは明確に増える傾向にあります。

弁理士業務とAIの関係についてはこちらの記事で詳しく解説しております。

第5章:食いっぱぐれない弁理士になるために今すぐやるべきこと

ここまで読んでくださった方には、「弁理士=安泰」というイメージだけでなく、“生き残るために努力が必要な専門職”であることも伝わったかと思います。

とはいえ、正しく努力すれば「食いっぱぐれない弁理士」になることは十分可能です。ここでは、実際に私がやってきたこと、周囲の優秀な弁理士が実践していることをベースに、今日からできるアクションを紹介します。

① 時代の変化に敏感になり、常に学び続ける

弁理士になった後も、法改正・AI・国際化など、知財の世界は常に動いています。変化を“他人事”にせず、自分ごととして捉えられる人こそが生き残ります。

私は定期的に知財系のニュースやIP Watch、WIPOの動向を追っていますし、ChatGPTなどのAIにも実際に手を動かして触れています。

「新しいものに対する好奇心」と「試してみる行動力」が、弁理士の世界では非常に大切です。

② 資格取得だけで満足せず、“実務力”を鍛える

合格はゴールではなくスタートです。企業の知財部に異動して最初に痛感したのは、「実務では試験と全然違う力が求められる」ということ。

たとえば、

  • 発明者と議論して発明の“本質”を引き出すスキル
  • 審査官との面接交渉で落とし所を探る交渉術
  • 特許の価値を経営層に説明できるプレゼン力

これらはすべて、実務経験と日々のトライ&エラーで鍛えるものです。

③ “勉強法”にこだわりすぎず、今すぐ始める

弁理士を目指している方に伝えたいのは、「最初は“できるかどうか”を考えすぎない」ことです。

私が試験勉強を始めたときも、正直、周囲に弁理士なんて誰もいませんでしたし、何から手を付ければいいのか分からない状態でした。でも、「とりあえず始めてみる」ことで、少しずつ道が開けてきました。

スタディング(Studying)で、最短・最安で弁理士を目指す

私は実際に、働きながら10万円以下の費用で弁理士試験に合格しました。そのとき使ったのが、オンライン講座のスタディング弁理士講座です。

なぜ私がスタディングを選んだかというと、以下の3点です:

  • スマホ中心でスキマ時間に学習できる
     ⇒ 通勤中・お昼休み・寝る前など、フルタイム勤務でも勉強を継続できました。
  • 費用が圧倒的にリーズナブル
     ⇒ 他の予備校と比べても圧倒的に安く、10万円以下で全科目カバー可能です。
  • 講座の質が高く、初学者でも理解しやすい構成
     ⇒ 特許法・実用新案・意匠法・商標法の体系的な理解が可能でした。

正直、働きながら弁理士を目指す人にとって、スタディングほどコスパの良い選択肢はないと思っています。

最後に:弁理士は、努力が報われる資格です

弁理士試験は簡単ではありません。でも、「本気でやれば確実に報われる」試験でもあります。その先には、企業でも特許事務所でも、あなたの知識と戦略力が活きる世界が待っています

私のように普通の会社員だった人間でも、正しい勉強法と継続力があれば道は開けます。迷っている方は、まず一歩を踏み出してみてください。

そして、もし「何から始めればいいかわからない」という方は、私が使っていたスタディング弁理士講座の無料講座をぜひ試してみてください👇

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