弁理士試験合格後に特定侵害訴訟代理業務試験を受けて資格を取る方がいますよね。弁理士のプロフィールや弁理士の名刺を見ると、たまに「特定侵害訴訟代理業務付記」と書かれていたりします。
実際業務に必要なのでしょうか?取るメリットや難易度、試験内容について解説していきたいと思います。
特定侵害訴訟代理業務付記弁理士とは?
特定侵害訴訟代理業務付記弁理士とは特定侵害訴訟代理業務試験に合格して、侵害訴訟の訴訟代理人になることのできる弁理士の事を言います。
基本的に、訴訟の代理人になれるのは弁護士のみですが、特定侵害訴訟代理業務付記されると、弁護士と一緒に、知的財産権侵害訴訟の代理人になることができます。
訴訟代理人になるわけですから当然民法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法などの知識が必要とされ、研修や特定侵害訴訟代理業務試験が課されているわけです。
ちなみに無効審判や特許異議申し立てに対する審決等取消訴訟は、特定侵害訴訟代理業務付記されていなくても一人で代理人手続きをすることができるよ。
どうやったら付記弁理士になれるの?
①弁理士試験に合格し、弁理士登録する
まあこれは当然ですが、弁理士試験に合格し、弁理士登録しなければ受けることはできません。
②能力担保研修を修了する。
能力担保研修という研修を受けて、修了する必要があります。
研修の概要は以下です。
- 受講料200,000円
- 計45時間の講義受講(民事訴訟に関する実務的なものを中心に、弁理士が特定侵害訴訟に関する訴訟代理人となるために必要な学識及び実務能力に関する内容)
- 自宅起案と宿題の課題あり
- 遅刻や早退に対しても厳しい
以上のような研修を受ける必要があります。それにしても受講料は中々高いですよね。
③特定侵害訴訟代理業務試験に合格する
上記の能力担保研修を修了した上で特定侵害訴訟代理業務試験に合格する必要があります。
詳細は下記にて説明いたします。
④日本弁理士会への付記申請をする。
特定侵害訴訟代理業務試験に合格した後、日本弁理士会への付記申請をして登録されれば晴れて付記弁理士になることができます。
研修の費用がやっぱり高く感じてしまうよね~
特定侵害訴訟代理業務試験の目的(特許庁HPより)
特定侵害訴訟代理業務試験は、特定侵害訴訟*1に関する訴訟代理人となるのに必要な学識及び実務能力に関する研修*2を修了した弁理士を対象に、当該学識及び実務能力を有するかどうかを判定するために実施するものです。
本試験に合格後、日本弁理士会において本試験に合格した旨の付記を受けた弁理士は、弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り*3、その事件の訴訟代理人となることができます。
- *1 特定侵害訴訟とは、特許、実用新案、意匠、商標若しくは回路配置に関する権利の侵害又は特定不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟をいいます。
- *2 研修は、民法、民事訴訟法の基本的知識を修得した弁理士を対象に、特定侵害訴訟に関する実務的な内容を中心とした合計45時間の講義及び演習により日本弁理士会が行っています。
- *3 弁護士との共同受任であるほか、弁理士の出廷についても、共同受任している弁護士との共同出廷が原則です。
特定侵害訴訟代理業務試験の概要
受験資格、時期、受験場所
- 受験資格・・・特定侵害訴訟代理業務試験
- 試験時期・・・10月中旬から12月下旬の土曜日又は日曜日のいずれかに、1日間で実施
- 受験地・・・東京、大阪
- 受験手数料・・・受験手数料
試験の内容
- 試験科目・・・民法、民事訴訟法その他弁理士法第2条第6項に定める特定侵害訴訟に関する法令及び実務に関する事項
- 出題形式・・・論文式筆記試験
- 出題数・・・事例問題2題(事例問題1題あたり3時間)
詳細は特許庁HPをご覧ください。
特定侵害訴訟代理業務試験の案内 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
特定侵害訴訟代理業務付記弁理士になるメリット、デメリットは?
メリット
- 民法・民事訴訟法の知識を学べる
- 特定侵害訴訟代理業務を行うことができる
- 周りから一目置かれる存在になる
- 転職に有利
デメリット
- 研修の価格が高い
- 業務で使う機会は限られている
結論から言うと、業務として必要になれば資格を取れば良いと思います。逆に必要でなければ特に取る必要は無いでしょう。
また会社や事務所が費用を負担してくれるなどの条件があれば取るといいかもしれません。
本日は特定侵害訴訟代理業務付記弁理士について解説いたしました。
また他にも弁理士試験の勉強方法、知財部で仕事内容に解説していますので、ぜひご覧ください。
私が弁理士試験にかけたコストや時間及びおすすめの講座についてはこちらにまとめていますのでご参照ください。
知財関係の転職をご検討中の方はこちらをご参照ください。
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