はじめに:知財部に異動=左遷と思っていませんか?
「技術職から知財部に異動になった」「突然、開発部から外された」
そんな話を聞いたとき、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが「左遷されたのでは?」という疑念かもしれません。
実際、「知財部 左遷」と検索すると、多くのネガティブな情報がヒットします。
でも、それは果たして本当に正しいのでしょうか?
本記事では、実際にメーカー開発職から知財部へ異動し、弁理士資格を取得した筆者(coffee)が、リアルな視点から「知財部=左遷説」の真偽を解説していきます。
そして、「今いるポジションは本当にキャリアにプラスなのか?」という悩みにも、道筋を提示できたらと思います。
企業知財部の仕事についてはこちらでご紹介しています。
なぜ知財部は「左遷」と見られがちなのか?
知財部門は、企業にとって非常に重要なセクションです。
にもかかわらず、どうして「左遷先」と見られてしまうのでしょうか。
① 技術職からの距離感
開発や製造の現場に比べて、知財部は実務的な手を動かす場面が少ないため、「現場から離れた部署」という印象を持たれがちです。
② 専門性の壁
特許・商標・意匠といった知的財産の世界には、法的な知識や制度理解が必要です。
多くの人にとっては「馴染みが薄く、よくわからない部署」として敬遠されることも少なくありません。
③ 異動の理由が説明されない
上司や人事から「来月から知財部ね」と告げられても、その背景や目的が説明されないことがあります。
すると、「お払い箱にされたのでは?」という不安が膨らむのは当然です。
知財部への異動は本当にキャリアの後退なのか?
ここで私自身の経験をお話しします。
私は理系大学院を修了後、大手メーカーの開発職に就きました。
日々、製品の改良に取り組み、現場でのやりがいを感じていましたが、ある日突然「知財部へ異動」の辞令が。
正直に言えば、その瞬間は戸惑いもありました。
「なぜ自分が?」「開発現場から外されたのか?」そんな気持ちがよぎりました。
でも、そこで終わらずに私はこう考えました。
「この異動は新たなスキルを得るチャンスではないか?」
その結果、異動後すぐに弁理士試験の勉強を始め、約1年で合格。
今では「開発経験+知財の専門性」という、非常に強いキャリアを手に入れることができました。
知財部異動が“左遷”ではなく“キャリアチャンス”である理由
「開発から外された」と思い込んでいた私でしたが、実際に知財業務に携わってみると、その印象は180度変わりました。
むしろ、今振り返ってみると、あの異動こそがキャリアの転機だったと断言できます。
では、なぜ知財部への異動がキャリアチャンスになり得るのでしょうか?
① 企業の「知的財産戦略」に関与できるポジション
知財部では、技術の「中身」だけではなく、その技術をどう保護し、どうビジネスに活かすかという視点で業務を行います。
つまり、開発現場では得られない「上流戦略」に関わる経験が積めるのです。
たとえば以下のような業務があります:
- 特許出願・中間対応・拒絶理由通知への対策
- 他社特許の調査と回避設計
- 新技術の特許網構築
- 事業部門との連携による戦略立案
技術とビジネスをつなぐ知財の役割は、年々重要性を増しています。
それに比例して、知財人材の市場価値も高まっているのです。
② 専門性が「肩書き」になる世界
知財の世界では、知識と経験が直接的に市場価値に反映されやすいです。
特に「弁理士」のような国家資格を取得すれば、職域・年収・働き方の選択肢が一気に広がります。
これは「技術職」としてのキャリアだけを追い続けた場合とは、大きく異なる点です。
開発現場で成果を出しても、その技術が事業化されなかったり、特許化されなければ社外での評価は得にくい。
一方で、知財の実務経験は「業界共通言語」であるため、転職市場でも高評価される傾向があります。
③ 知財の知識は“社内価値”も“社外市場価値”も高める
実際、知財部での経験は社内での評価にも直結します。
「特許の取り方を知っている技術者」は社内でも重宝される存在になりますし、
「特許網を構築できる人材」は経営層にも注目されます。
その一方で、知財実務は社外でも高く評価されるスキル。
特に転職市場においては、「開発経験+知財スキル+弁理士資格」は強力な武器になります。
知財部異動をきっかけに“弁理士”を目指すべき理由
知財部に異動してしばらく経った頃、私は一つの壁にぶつかりました。
特許出願書類を読むことはできても、自分でドラフトをゼロから書くことができない。
中間処理で拒絶理由通知を読んでも、適切な応答方針が立てられない。
つまり、知財の現場で活躍するには、実務に裏打ちされた専門知識と法的なリテラシーが不可欠なのです。
そこで私は、「どうせやるなら資格を取ってしまおう」と決意し、弁理士試験の勉強を始めました。
弁理士資格がもたらす3つのメリット
① 社内での専門性が“資格”という形で可視化される
企業の中では、どうしても「資格がない=評価しにくい」という構図があります。
弁理士の資格があると、「知財のプロ」として社内外から一目置かれるようになります。
② 転職・副業・独立とキャリアの選択肢が一気に増える
知財部にいると気づきにくいかもしれませんが、弁理士の求人は業界全体で常に人材不足です。
特許事務所、企業の知財部門、ベンチャーの知財顧問など、働き方の選択肢が広がります。
③ 年収レンジが大きく上がる可能性もある
特許事務所では実力主義の世界である一方、成果を出せば年収1000万円以上も珍しくありません。
企業内でも、弁理士資格は年収アップや管理職登用の加点材料になることが多いです。
働きながら弁理士を目指すなら、勉強の「効率」がすべて
私は2020年10月から弁理士試験の勉強を始め、2022年1月に合格しました。
期間にして約1年強。働きながらの挑戦でしたが、できる限り効率的に進めるために選んだのがオンライン学習サービス「スタディング」でした。
スタディング弁理士講座:最短×最安で合格を狙える現実的な選択肢
【スタディング】受講者14万人突破!スマホで学べる人気のオンライン資格講座申込 (弁理士)私が感じた3つのメリット
- スマホでどこでも勉強できる
通勤時間、昼休み、夜のすき間時間……とにかく時間の無駄がない。 - コストが圧倒的に安い
一般的な弁理士講座は30〜50万円ですが、スタディングはその1/3以下で受講可能。 - 問題演習が体系的かつ実践的
基本講義だけでなく、過去問・答練・短答対策もスマホで完結。無駄がない。
実際、私は教材費10万円以下で合格しています。
これはスタディングのおかげと言っても過言ではありません。
私が受けていたStudyingの弁理士講座について詳しく知りたい方は下記をご参照ください。
知財部経験者は“転職市場で強い”という事実
知財部での実務経験を積むと、次第にその「市場価値」に気づく場面が増えてきます。
たとえば、以下のようなスカウトやオファーを受けるようになります:
- 特許事務所からの即戦力採用
- 上場企業の知財部門からのヘッドハント
- スタートアップ企業の知財顧問の募集
- 弁理士資格を前提とした年収アップの打診
これらの共通点は、知財実務の経験+弁理士資格(またはその勉強中)という組み合わせが、高く評価されるということです。
実例①:特許事務所への転職
特許事務所は「書類作成の専門集団」です。
企業知財部で明細書の中身や出願戦略を理解している人は、非常に重宝されます。
とくに、「弁理士資格はまだだけど、実務経験がある」人材は、未経験よりも1段上の待遇で採用されるケースが多いです。
実例②:事業会社の知財部門へのキャリアアップ
自社内でのキャリアパスに限界を感じる場合、他社への転職でステップアップを狙うのも現実的な選択肢です。
例えば、あなたが「特許戦略を考えられる」「事業部と調整できる」スキルを持っていれば、
それはどの企業に行っても再現性のあるスキル=“ポータブルスキル”です。
中には年収100万円以上アップして転職する例も、決して珍しくありません。
実例③:スタートアップ×知財
最近注目されているのが、スタートアップでの知財人材の需要です。
特許出願や契約業務を外注せず、社内でスピーディに回すために、
「知財をわかる人」が初期から求められています。
スタートアップのCTOや技術顧問ポジションに“弁理士経験者”が就くことも増えており、
これは柔軟な働き方(リモート、副業、業務委託など)との相性が良いのも魅力の一つです。
知財経験者に強い転職エージェントを活用する
こうした知財系の転職に興味がある方におすすめしたいのが、
✅ リーガルジョブボード
弁理士・特許技術者・企業知財部向け求人に強い、専門職向けの転職プラットフォーム。面接対策や書類添削のサポートもあり。
👉今よりも働きやすい事務所に転職できる。 弁理士・特許技術者求人サイト【リーガルジョブボード】
また、弁理士資格取得後の転職についてはこちらの記事にまとめています。
知財部は「左遷」ではない。キャリアの“起点”である。
「知財部に異動になった」「技術職から外れた」「もう出世は難しいかもしれない」
そんなふうに落ち込んでしまう人も少なくありません。
ですが、それは大きな誤解です。
むしろ知財部こそ、キャリアの可能性を広げる“スタート地点”です。
私自身も、知財部への異動がきっかけで弁理士資格を取得し、
今では知財の専門家として自分の市場価値を高めながら働けています。
まとめ:知財部を「左遷」と感じた人へ
知財部での仕事は、最初はなじみにくく、専門用語も多くて戸惑うかもしれません。
ですが、その中でしっかりと実務経験を積み、弁理士資格という「証明」を得ることで、
あなたのキャリアは確実に加速します。
知財部に来たことを「終わり」だと思わないでください。
むしろ、始まりなのです。
プロフィール:筆者「coffee」について
このブログにご訪問いただきありがとうございます。
サイト運営者のcoffeeと申します。
略歴
- 2018年:理系大学院卒業後、メーカー開発職に就職
- 2020年10月:弁理士試験の勉強開始
- 2021年:同メーカー知財部に異動
- 2022年1月:弁理士試験合格
- 2022年5月:ブログ開始
- 2024年6月:ITパスポート合格
- 2024年8月:基本情報技術者試験合格
- 2024年12月:応用情報技術者試験合格
趣味
- 筋トレ
- 映画鑑賞
- Huluで英語学習
- ラーメンめぐり
私は令和3年度の弁理士試験に、働きながら最短・最安ルート(教材費10万円以下)で合格しました。
このブログでは、資格取得のリアルな体験談、知財業界の情報、勉強法などを発信しています。
少しでも皆さんのキャリア形成のヒントになれば幸いです。
コメント