弁理士は食えないって本当?現役知財部×弁理士がリアルを語ります

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弁理士=食えない?ネット上の噂に現役が切り込む

「弁理士って食えないって聞くけど、どうなの?」
そんな疑問を抱えてこのページにたどり着いた方も多いかもしれません。

確かに、ネット検索をしてみると「弁理士 食えない」「資格だけでは意味がない」など、不安を煽るような声が散見されます。しかし、実際に働いている立場からすると、その言葉には誤解も多いと感じます。

こんにちは。当ブログにお越しいただきありがとうございます。
筆者のcoffeeと申します。私は2022年に弁理士試験に合格し、現在はメーカー知財部で勤務する現役弁理士です。

この記事では、「弁理士=食えない」というよくあるネット上の噂について、収入面・働き方・将来性など複数の視点から冷静に掘り下げていきます

資格取得後の進路に悩む方、あるいはこれから弁理士試験を目指そうとしている方に向けて、「資格取得の努力が報われるのか?」という疑問にも現実的にお答えしていきます

1. 弁理士は食えないの声はどこから?ネットの実態分析

「弁理士は食えない」というフレーズは、資格系の掲示板やTwitter(現X)、Yahoo!知恵袋などでも頻繁に見かける言葉です。しかし、実際にその中身を見ていくと、多くは次のような主観や断片的な情報に基づく発信であることが多いのです。

よくある「食えない」意見の例

  • 「弁理士事務所は激務なのに年収が低い」
  • 「AIに取って代わられる職業」
  • 「資格を取ったのに就職できなかった」
  • 「独立しても仕事が来ない」

一見すると不安を煽るようなこれらのコメントですが、背景にある前提条件をよく見ると実情は異なっているケースも少なくありません

たとえば「事務所勤務で年収が低い」と言っている方が、実は試験合格直後の20代で、まだ経験年数が浅い補助者だったり、「独立して食えない」と語る方が、営業努力や業務の差別化をしていなかったりと、“戦略なき資格取得”が失敗体験につながっているパターンが非常に多いのです。

弁理士資格の位置づけを知らないと誤解しやすい

弁理士資格は、取得すれば即高収入というものではありません。弁理士は士業の中でも「資格取得=スタートライン」にすぎない数少ない専門職のひとつです。

つまり、弁理士資格は「営業職の名刺」「法律知識の証明書」であり、それだけで食えるかどうかはポジション・戦略・経験の掛け算によって決まります。

筆者自身も、メーカーの技術職から知財部に異動し、社内でキャリアを築いてきた身です。最初から独立していたわけでも、フリーランスだったわけでもありません。環境選びと自己成長が食えるかどうかの分かれ道なのです。

「知財部=左遷」「弁理士=食えない」という偏見

また、特にメーカー勤務者の間では「知財部に行ったらキャリアが止まる」「技術職から外されたら終わり」といった偏見も根強く存在します。しかし、これは業務内容の理解不足や情報のアップデート不足による誤解である場合がほとんどです。

実際に筆者は技術部門から知財部へ異動し、弁理士資格を活かしてキャリアを加速させています

企業知財部の仕事についてはこちらでご紹介しています。

2. 実際の年収はどれくらい?事務所勤務・企業勤務で異なる現実

「弁理士=食えない」と言われる理由のひとつに、年収の不透明さがあります。
これは、勤務形態(特許事務所か企業か)、年齢、経験、担当分野(特許・商標など)によって大きくばらつきがあるため、一概に語れないという背景があります。

弁理士の年収相場【事務所勤務】

特許事務所に勤務する弁理士は、年齢や経験、取扱件数に応じて年収が決まるケースが多いです。
以下は大まかな目安です:

経験年数年収目安
0〜3年400〜600万円
3〜7年600〜900万円
10年〜1000万円以上も可

特許明細書を何本書けるか、あるいは中間処理・外国出願対応などのスキルがあるかによって収入は変動します。中小の事務所では成果報酬型の給与体系を採っているところも多く、実力主義の世界と言えるでしょう。

弁理士の年収相場【企業知財部】

企業の知財部で働く弁理士の場合は、会社の給与テーブルに従うため、年功序列的な部分もあります。

筆者が在籍しているメーカーでは、弁理士資格を保有していると昇進スピードが速まったり、専門職手当が上乗せされたりする場合があります。

  • 一般社員(20代):年収500〜600万円前後
  • 主任〜係長クラス(30代):年収650〜800万円
  • 管理職以上(40代〜):1000万円〜

企業によって違いはありますが、安定性とワークライフバランスを重視したい人には企業勤務が向いていると言えます。

独立開業すれば年収2000万円超も?

一方、弁理士は独立して開業することも可能です。
事務所を立ち上げ、営業・ブランディング・ネットワークを構築できれば、年収2000万円を超える方もいます。

ただしこれは「弁理士資格+営業力+人脈+継続力+専門性」という複数の要素が噛み合った場合に限られます。
独立=高収入ではなく、戦略と努力の総合力で初めて収入が伸びていく世界です。

転職で年収を上げる方法もある

最近では、弁理士資格を活かしてより待遇の良い企業に転職し、年収アップを目指すケースも増えてきました。実際、私の知人には、30代で中堅メーカーから外資系に転職し、年収が200万円以上アップした方もいます。

3. AI・ChatGPT時代で食えなくなる?仕事の今後と業務の進化

近年、「弁理士の仕事はAIに代替されるのでは?」という議論が、ChatGPTなど生成AIの進化に伴って再燃しています。これにより、「弁理士=将来性がない=食えない」といった誤解も広まりつつあります。

しかし、実際の業務現場を知っている立場からすると、AIの進化は“脅威”であると同時に“武器”にもなり得ると感じています。

AIで代替される業務とされにくい業務

AIが得意とするのは、一定のパターンがある文書生成や分類業務、過去の文献から類似技術を検索するといった定型処理です。
たとえば、以下のような作業は今後AIが補助・代行していく可能性があります:

  • 特許分類(FI/Fタームなど)の割り振り
  • 先行技術調査の一次スクリーニング
  • 定型的な中間処理文案のたたき台作成

ただし、これらは弁理士業務のごく一部です。むしろ、AIが入り込めない重要業務は以下のように多く存在します:

  • 発明者との折衝・技術ヒアリング
  • 出願戦略の立案(どの国にどのタイミングで出すか等)
  • 審査官応答での戦略的判断
  • 異議申立・無効審判などの高度な法的主張

つまり、弁理士の中核業務は「人間的な判断」や「交渉・戦略性」に強く依存しているため、AIによる代替は当面限定的です。

AIを“使いこなす側”に回れるかが分かれ道

むしろ、今後の弁理士に求められるのは「AIに奪われないこと」ではなく、**「AIを使いこなせること」**です。

私自身、ChatGPTを使って中間処理案の初稿作成を試してみたり、技術動向調査の初期段階に活用したりと、“ツールとしてのAI”を積極的に取り入れています

たとえば、技術情報を集約し、請求項の構成要素を論理的に整理する作業では、AIの補助が意外に有効です。ただし、最終判断や表現の微調整は、やはり人間の知識と経験がものを言います

こうした変化を踏まえると、AI時代に「食える弁理士」と「食えない弁理士」の分岐点は明らかです:

「AIに置き換えられる人」ではなく、「AIを武器にできる人」になれるかどうか。

働きながらでも最短で合格を目指せる時代に

AIやDXの時代を生き抜くには、技術と法律の両面を理解する人材が重宝されます。そのため、弁理士資格の重要性はむしろ今後高まっていく可能性もあります。

「でも、働きながら弁理士試験に受かるのは大変そう…」
そんな方には、スキマ時間で効率よく学べるオンライン講座の活用がオススメです。

私自身、働きながらスタディングの弁理士講座を使い、最短で合格までたどり着けました。

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4. それでも弁理士を目指す価値がある理由

「弁理士は食えない」などと言われる中でも、毎年多くの人が弁理士試験に挑戦しています。それはなぜでしょうか?
結論から言えば、正しい戦略で進めば、弁理士は“強力なキャリア資産”になる資格だからです。

弁理士という資格が持つ「本当の価値」は、表面的な年収の高さだけでは測れません。
本章では、筆者が実際に感じてきた弁理士を目指す価値とその裏にある“強み”についてお話しします。

知財の知識はどんな業界でも活かせる「普遍的スキル」

弁理士試験では、特許法・実用新案法・意匠法・商標法・条約など、知財に関する法律を深く学びます。
一見すると「専門的すぎて他で使えないのでは?」と思われがちですが、実はどんな業界にも応用可能なスキルなのです。

今や、製造業に限らず、ソフトウェア、バイオ、金融、さらにはエンタメ業界まで、知的財産の保護・活用は経営の中心的テーマとなっています。

弁理士としての知識があれば、次のようなキャリアが開けます:

  • 企業の知財戦略担当
  • 開発現場と法務をつなぐブリッジ人材
  • 新規事業の特許ポートフォリオ構築担当
  • 技術・法務に強いコンサルタント

単なる“士業”ではなく、テクノロジーとビジネスに強いプロフェッショナルとしての立ち位置を得ることができます。

資格取得による自己肯定感と市場価値の向上

実際、私が弁理士試験に合格したとき、単なる年収アップ以上に感じたのは自己肯定感と社内評価の変化でした。

  • 「この人に任せれば安心だ」と言われるようになった
  • 会議で技術法務的な意見が求められるようになった
  • 昇格スピードが速まり、専門性で勝負できる環境が整った

このように、弁理士資格は専門性だけでなく、自分の“武器”としての信用力を高めてくれます。

さらに副業・フリーランスの選択肢も視野に入ってくるため、働き方の自由度も増していくのです。

入門に最適な一冊:『弁理士スタートアップテキスト』

「でも、弁理士ってやっぱり難しそう…」
そんな方には、まず弁理士試験の全体像を知ることをおすすめします。
個人的に推したいのが、『弁理士スタートアップテキスト』です。

この書籍は、法律に苦手意識がある人でもスッと読み進められる構成になっており、

  • 弁理士の仕事のリアル
  • 試験制度の詳細
  • どう勉強を始めるべきか

などが網羅されている初心者向けの最強入門書です。
私も最初にこれを読んで「これなら自分にもできるかも」と思えたのを覚えています。

▶ 書籍はこちら → 『弁理士スタートアップテキスト』:やさしく学べる知財の世界

5. 弁理士資格を活かしたキャリアアップ事例とその戦略

「弁理士=食えない」というイメージを払拭するには、資格をどう活かすかがカギです。
資格取得がゴールではなく、スタートラインにすぎないという視点が必要です。

以下では、実際のキャリアアップ事例を紹介しつつ、戦略的な活かし方をご提案します。

転職で年収を上げた実例:外資系企業にスライド

周囲には、以下のようなキャリアアップを実現した方もいます:

  • 日系メーカー→外資系企業の知財部に転職
  • 年収650万→950万円にアップ
  • 英語スキル+弁理士資格で国際出願業務に関与

このような転職成功のためには、専門特化+ポータブルスキル(語学・ITなど)の掛け算が重要です。

特に最近は「リモートOKの知財ポジション」も増加中で、柔軟な働き方を手に入れるチャンスでもあります。

転職を本格的に考えるなら、知財に特化した転職エージェントを使うのが最も効率的です。

おすすめは【リーガルジョブボード】。
知財系の求人に強く、弁理士や知財部の転職に特化したキャリアアドバイザーが在籍しています。

👉今よりも働きやすい事務所に転職できる。 弁理士・特許技術者求人サイト【リーガルジョブボード】

最後に:迷っているあなたへ

「やっぱり難しそうだし、やめておこうかな…」
そう思うのも自然です。ですが、この記事を最後まで読んだあなたは、すでに一歩踏み出しかけている人です。

興味があるうちに、まずは小さな第一歩から始めてみてください。

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