弁理士試験の勉強を始めた方なら誰もがぶつかるのが「条文の暗記の壁」ではないでしょうか。
特に、パリ条約やPCT(特許協力条約)は条文が抽象的で文章も長く、短答式試験では数条の知識が問われるにも関わらず、内容を正確に理解・記憶しておくのが非常に難しい分野です。
本記事では、令和3年度に費用10万円以下&1年の独学で弁理士試験に合格した現役企業知財部員である筆者が、自らの受験体験を踏まえて活用した語呂合わせ・記憶術をご紹介します。
「覚える時間が惜しい」「語呂を考える時間すら惜しい」そんな方のために、即使える語呂合わせ集+実践的な勉強法+おすすめ法文集まで網羅的にお届けします。
なぜ語呂合わせが弁理士試験に有効なのか?
弁理士試験は短答・論文・口述と三段階に分かれており、どのフェーズでも「条文の正確な理解と記憶」が求められます。
特に短答では、条文の逐条知識が問われるため、
- 数字(期間)
- 要件(項目)
- 条文構造(号や項の関係)
を正確に暗記する必要があります。
語呂合わせは、こうした「記憶のハードル」を下げてくれる非常に強力なツールです。
メリット:
- 意味が分からなくても響きで覚えられる
- 難解な文章もリズムで記憶に残る
- 思い出しやすくなる(口述対策にも◎)
デメリット:
- 語呂だけで覚えると意味理解が疎かになる
- 人によって合う合わないがある
語呂合わせは「暗記を補助するツール」であり、「理解を代替するものではない」ことを念頭に置いて活用することが大切です。
短答試験対策についてはこちらでご紹介しているのでこちらもご参照ください。
【パリ条約】短答対策のための語呂合わせまとめ
第1条(2):「とくじついしょうさごうげんげんふ」
元の条文:
「本条約において、工業所有権とは、特許、実用新案、意匠、商標、サービスマーク、商号、原産地表示又は原産地名称、不正競争の防止に関するものをいう。」
語呂:「とくじついしょうさごうげんげんふ」
とく=特許
じつ=実用新案
い=意匠
しょう=商標
さ=サービスマーク
ごう=商号
げんげん=原産地表示・原産地名称
ふ=不正競争防止
リズムがよく、音読しながら口に出すと覚えやすい定番語呂合わせです。。
第2条(3) 内国民待遇の例外
元の条文:
(3) 司法上及び行政上の手続並びに裁判管轄権については,並びに工業所有権に関する法令上必要とされる住所の選定又は代理人の選任については,各同盟国の法令の定めるところによる。
語呂:「しさいじゅうだい」
- し=司法上
- さい=裁判管轄権
- じゅう=住所の選定
- だい=代理人の選任
第4条C(4) 後の出願が最初の出願とみなされるための条件
元の条文(一部要約):
(4) (2)にいう最初の出願と同一の対象について同一の同盟国においてされた後の出願は,先の出願が,公衆の閲覧に付されないで,かつ,いかなる権利をも存続させないで,後の出願の日までに取り下げられ,放棄され又は拒絶の処分を受けたこと,及びその先の出願がまだ優先権の主張の基礎とされていないことを条件として,最初の出願とみなされ,その出願の日は,優先期間の初日とされる。この場合において,先の出願は,優先権の主張の基礎とすることができない。
語呂:「どうどうえつけんさげききょゆう」
- どう=同一の対象
- どう=同一の同盟国において
- えつ=公衆の閲覧に付されないで
- けん=いかなる権利をも存続させないで
- さげ=取り下げられ
- き=放棄され
- きょ=拒絶の処分
- ゆう=優先権の主張の基礎

これは定番で有名だよね~
第6条の5(2) 本国の定義
元の条文:
(2) 本国とは,出願人が同盟国に現実かつ真正の工業上又は商業上の営業所を有する場合にはその同盟国を,出願人が同盟国にそのような営業所を有しない場合にはその住所がある同盟国を,出願人が同盟国の国民であつて同盟国に住所を有しない場合にはその国籍がある国をいう。
語呂:「営住国(えいじゅうこく)」
- 営=営業所
- 住=住所
- 国=国籍
解説:
パリ条約では出願の「本国」が重要になりますが、その決定ルールを順番付きで簡略化したものです。「営」が最も優先度が高く、なければ次に「住所」、それもなければ「国籍」を見るという構造になっています。
【PCT条約】語呂合わせと記憶のコツ
第11条(1)(iii):「しげいてしめせ」
元の条文(一部要約):
(1) 受理官庁は、次の要件が受理の時に満たされていることを確認することを条件として、国際出願の受理の日を国際出願日として認める。
(ⅰ) 出願人が、当該受理官庁に国際出願をする資格を住所又は国籍上の理由により明らかに欠いている者でないこと。
(ⅱ) 国際出願が所定の言語で作成されていること。
(ⅲ) 国際出願に少なくとも次のものが含まれていること。
(a) 国際出願をする意思の表示
(b) 少なくとも一の締約国の指定
(c) 出願人の氏名又は名称の所定の表示
(d) 明細書であると外見上認められる部分
(e) 請求の範囲であると外見上認められる部分
語呂:「しげいてしめせ」
出願に必要な要素:資格、言語、意思、締約国、氏名、明細書、請求の範囲の7要素
し=資格/げ=言語/い=意思/て=締約国/し=氏名/め=明細書/せ=請求の範囲
解説:
国際出願が有効になるための7つの要件。この語呂は「短答定番」の内容です。
理解のためには、「何がなければ出願日が与えられないのか?」という観点で記憶すると効果的です。
第14条 国際出願の欠陥について
第十四条 国際出願の欠陥
(1)(a) 受理官庁は、国際出願に次のいずれかの欠陥が含まれていないかどうかを点検する。
(ⅰ) 規則の定めるところによる署名がないこと。
(ⅱ) 出願人に関する所定の記載がないこと。
(ⅲ) 発明の名称の記載がないこと。
(ⅳ) 要約が含まれていないこと。
(ⅴ) 所定の様式上の要件が規則に定める程度にまで満たされていないこと。
語呂:「しょめいがんじんはつようよう」
- しょめい=署名
- がんじん=出願人
- はつ=発明の名称
- よう=要約
- よう=様式
解説:
PCTにおいて「欠陥」とみなされる項目の代表例です。欠けていたら出願日が認められなかったり、修正が求められたりするものばかり。試験では「どの欠陥が致命的か」を問う選択肢で登場します。

意味は不明だけど、響きはなぜか頭に残る感じね。。
規則42.1 国際調査のための期間
内容:
42.1 国際調査のための期間
国際調査報告又は第十七条(2)(a)の宣言を作成するための期間は、国際調査機関による調査用写しの受領から三箇月の期間又は優先日から九箇月の期間のうちいずれか遅く満了する期間とする。
語呂:「調査は削減(3・9)」
解説:
「さくげん」という語感で「3と9」を覚える。短答で問われる場合、「どちらか早い方か遅い方か?」という点に注意が必要です。
第46規則 国際事務局に提出する請求の範囲の補正書
46.1 期間
第十九条に規定する期間は、国際調査機関による国際事務局及び出願人への国際調査報告の送付の日から二箇
月の期間又は優先日から十六箇月の期間のうちいずれか遅く満了する期間とする。ただし、第十九条の規定に基
づく補正で当該期間の満了の後に国際事務局が受理したものは、その補正が国際公開の技術的な準備が完了する
前に国際事務局に到達した場合には、当該期間の末日に国際事務局が受理したものとみなす。
語呂合わせ:「虹色(にじいろ)=2・16の19条補正」
解説:
「にじ=2」「いろ=16」の語呂で補正期限を暗記します。「19条補正」の期限として重要な暗記事項です。
第54規則の2 国際予備審査の請求をするための期間、69.2 国際予備審査までの期間
54の2.1 国際予備審査の請求をするための期間
(a) 国際予備審査の請求は、次の期間のうちいずれか遅く満了する期間までにすることができる。
(ⅰ) 出願人への国際調査報告又は第十七条(2)(a)の宣言及び43の2.1の規定に基づき作成され
た書面による見解の送付から三箇月
(ⅱ) 優先日から二十二箇月69.2 国際予備審査のための期間
国際予備審査報告を作成するための期間は、次の期間のうち最も遅く満了する期間とする。
(ⅰ) 優先日から二十八箇月
(ⅱ) 69.1に規定する国際予備審査の開始の時から六箇月
(ⅲ) 55.2の規定に従つて提出された翻訳文を国際予備審査機関が受理した日から六箇月
語呂合わせ:「サニブラウン、日本ハム入団」
- サ=3か月(国際調査報告後)
- ニブラウン=22か月(優先日から)
- 日本ハ=28か月(優先日から)
- ム=6か月(請求日から)
解説:
4つの数値(3・22・28・6)を1つのストーリーでまとめた語呂。試験でこの数字の比較が問われやすい箇所です。

昔、陸上選手で代走専門でプロ野球に入団した人いたらしいよ~
よくある質問(FAQ)
Q1. 語呂合わせは弁理士試験対策として本当に有効なのでしょうか?
A. 語呂合わせは、単なる暗記ではなく「記憶のフック」として機能する高度な学習補助技法です。特に、条文番号と要件・効果などの構造的記憶が求められる弁理士試験において、語呂を用いた情報の圧縮と即時想起の手段として有効です。ただし、語呂に依存しすぎると理解の浅い記憶に留まる可能性があるため、語呂=入口、理解=出口という認識で活用すべきです。
Q2. 語呂合わせを使うことで論文式試験にも対応できますか?
A. 語呂合わせ自体は論文式試験の直接的な解答力に直結するものではありませんが、条文構造を素早く再現できる点では有効です。論文では条文の趣旨や要件の的確な説明が求められますが、前提として記憶に条文の正確な骨格が定着していることが必要です。語呂はその構造記憶を支える補助として機能します。つまり、語呂だけでは不十分ですが、適切な知識運用の基盤となり得ます。
Q3. どのような条文が語呂化に適していますか?基準はありますか?
A. 語呂化に適した条文には共通点があります。主に以下のような特性を持つ条文です:
- 数字や期限が含まれる(例:審査請求期間、損害賠償の時効)
- 複数の構成要件が列挙されており、順番が重要(例:新規性喪失の例外、優先権)
- 他法域と比較して似た構造を持つが、要件が異なる(例:特許法と意匠法の無効理由)
このような条文は、理解だけでは記憶があいまいになりやすいため、語呂で構造を固定化することが有効です。
Q4. 語呂を使った学習が本試験でどのように活きるのでしょうか?
A. 実際の短答式試験では、限られた時間の中で複数肢を迅速に判断する必要があります。語呂が活きるのは、「条文の正確な構造を即座に思い出し、正誤判定の判断材料とする場面」です。特に、条文番号とセットで覚えている語呂があると、根拠に基づいた消去ができ、解答の精度が向上します。また、記憶の曖昧さが生じた際にも、語呂が補助的に記憶を呼び戻す役割を果たします。
弁理士試験勉強方法 語呂合わせの使い方
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その他の分野の語呂合わせ
下記リンクにそれぞれの分野の語呂合わせをまとめているので参照してみてください。
最後に
いかがだったでしょうか?本日はパリ条約、PCTのゴロ合わせを紹介してみました。ぜひぜひ使ってみてください。
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