知財部必見!!特許発掘、発明発掘活動マニュアル~現役の知財部弁理士が解説します~

知財業務全般

この記事は、令和3年度に1年10万円以下で弁理士試験に合格した現役企業内弁理士が実体験を元に書いています。

知財部のメイン業務の一つである発明発掘活動。

ただ知財部の人にとっては、なかなか専門的な分野で内容も難しいですよね。。。。

なので本日は知財部勤務の方、または開発、研究職についていてこれから発明を行っていきたい方必見の発明活動のマニュアルについて説明していきたいと思います。

発明発掘の概要

企業開発者や研究者が持つ技術の中から新しい技術的アイデアを抽出することで、新しい発明を生み出していくことを発明発掘と言います。

日頃研究や開発を行っている人にとっては、当たり前の技術でもそこに知財的な視点でみると発明がある可能性があります。

そのため、企業では知財部と開発者や研究者が協力して発明発掘活動と題して、発明を発掘しています。

メーカーでは、1年で一人50件くらいを目標に発明発掘をおこなっていたりするよ~

企業における発明発掘活動の意味合い

特許権を取得すると、自身の特許発明の実施を独占できると共に、第三者が無断でその特許発明を実施していればそれを排除することができます。

その上で企業においてどのような役割があるのでしょうか?

①防衛出願

1番目は、将来における自社の実施を確保する点にあります。

出願さえしておけば、それが出願公開さえされれば、同一発明について、もう他社に権利を取られるおそれはありません。

つまり、安心してその発明を将来製品にしたり、実施したりできます。

なのでこの防衛出願と意味で、自社製品に使用されている発明は優先的に出願します。

僕の会社では、普段の発明活動とは別に製品の販売前にその製品の発明を余すことなく、出願できているかチェックする場があるよ~ 

②権利化による発明の自社独占

2番目は、権利化することで他社の実施を禁止することができます

将来使うかどうか分からないけど、他社に使われたくないような良い発明は、権利化することで自社が独占して使うことができます。

仮に他社に使われてしまった場合には、差止め請求によって他人の実施を禁止したり、損害賠償請求を行うことも可能です。

③ライセンス料、損害賠償による収益目的

②ともかぶりますが、最初から自社の実施は予定せず、ライセンス料による収益目的で発明発掘を行う場合もあります。

このような企業は限られていますが、ライセンス目的の出願や権利を買い取って他社へ警告を行ってライセンス契約を結ぶことを専門にする企業もあります。

日本企業は裁判起こされるのを嫌う傾向にあるので、結構海外から警告を受けてライセンス契約を結ばされたり、損害賠償を払ったりすることも多い印象だね

発明発掘活動の流れ

以下に発明発掘活動の大まかな流れを書きます。

①アイデアの考案

例えば、スマートフォンの発明をしたいとします。

この発明したいスマートフォンはどのような技術なのかを定義してみましょう。

  • 画面をタッチすることで文字を打つことや操作することができる。(タッチスクリーン)
  • 電話もできる。
  • PCと同様にインターネットにアクセスできる。

まずはこの考案がとても大事です。もし下のフローを続けていくうちにどうしても上手くいかなければ、ここからやり直す必要がありますね。

ちょっと機能で発明を定義しちゃってるけど、簡単に説明するためにその辺はスルーしてね。

②アイデアの整理

次にアイデアを整理しましょう。

下の表のようにまとめてみましょう。

項目内容
従来技術ガラケー
従来技術の課題表示画面と入力部が分かれているために、表示画面が小さくなってしまう。
新しい構成タッチスクリーンにして表示画面と入力部を一体化する。
新しい構成による効果表示画面を大きくすることができる。
③アイデアを深く掘り下げる。

今度はアイデアを深く掘り下げていきましょう。

ここでは権利範囲を考えずにとにかくたくさん出していきましょう。

以下のようにとにかくたくさん出していきましょう。

  • 基本的にはアイコンをタッチする形で操作しつつ、文字の入力時にはタッチスクリーンでローマ字の入力画面が出てくる。
  • 文字の認識には音声認識も使用できるようにする。
  • 画面をスライドすることでページを移動できるようにする。
  • 指紋認識することで使用者以外が入力した場合には反応しないようにする。
④従来技術の調査

次に最もこの発明に近い実施例を検索しましょう。

ここでは丁寧に検索するので、従来想定していた(発明者が想定していた)従来技術より近い技術が発見される場合があります。

例えばここは、ipadのようなタブレットの発明を発見したとします。

⑤従来例を意識して発明を修正

ipadのようなタブレットの発明はかなり近いですよね。

この発明と差をつけるには、例えば通話機能を追加して差異を出す必要があります

なので特許の範囲としては、『

電話機能付きタッチスクリーンで操作する機器』とすることで従来例との差を出していきます。

イメージは下記のようになります。

⑥発明を膨らませる(実施例を広げる)

最後にアイデアを膨らませましょう。

例えば携帯のように操作するものでなく、車内に設置されているものにも応用できそうですよね。

こういった実施例を増やすことで権利範囲を広げていきます

最後に

知財部での中核の仕事にもなっている特許発明発掘の方法について本日は解説いたしました。

いかがだったでしょうか?

また他にも弁理士試験の勉強方法、知財部で仕事内容に解説していますので、ぜひご覧ください。

私が弁理士試験にかけたコストや時間及びおすすめの講座についてはこちらにまとめていますのでご参照ください。

知財関係の転職をご検討中の方はこちらをご参照ください。

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