弁理士試験の論文式試験は、多くの受験生にとって最大の難関とされています。しかし、適切な学習法と戦略を用いることで、短期間での合格も可能です。本記事では、令和3年度に1年10万円以下で弁理士試験に合格した現役企業内弁理士の実体験をもとに、効果的な論文対策法をご紹介します。
論文式試験の概要と合格基準
弁理士試験の論文式試験(必須科目)は、以下の3科目で構成されています:
- 特許・実用新案法:試験時間2時間
- 意匠法:試験時間1.5時間
- 商標法:試験時間1.5時間
試験では、弁理士試験用法文が貸与されます。合格基準は、標準偏差による調整後の各科目の得点の平均が54点以上であり、かつ47点未満の科目がないこととされています。

点数が相対的につけられることと、苦手科目があると受からないことは把握しておこう。
論文試験の出題傾向と過去問分析を意識しよう!!
弁理士試験の論文式筆記試験は、決して行き当たりばったりではなく、出題傾向に一定のパターンがあります。過去問を丁寧に分析すれば、「狙われやすい論点」や「問われやすい視点」が見えてきます。ここでは、過去5年間の傾向をもとに、出題テーマ・形式の特徴・視点の違いについて整理します。
過去5年間で頻出だったテーマ
近年(令和元年〜令和5年度)で特に頻繁に出題されているテーマは、以下のようなものです。
特許・実用新案法:
- 新規性・進歩性の判断基準(審査基準の理解が必要)
- 補正の要件と手続的制限
- 職務発明制度(旧法含む)
- 特許無効審判と訂正審判の関係
- 拒絶理由通知への対応方法
意匠法:
- 部分意匠の保護範囲と意匠の類否判断
- 関連意匠と本意匠との関係
- 秘密意匠制度の活用と留意点
- 意匠の創作と職務関係(創作者帰属)
商標法:
- 類似判断の枠組み(指定商品・役務と商標の称呼・観念など)
- 先使用権、著名商標の保護
- 不正競争防止法との関係
- 商標登録出願の分割・補正
傾向として、法改正があった年や、その数年後には改正点に関する出題が増える傾向があるので、逐条解説や特許庁の資料もチェックしておきましょう。
論文式試験の解き方についてはこちらでご紹介しています。
論文式試験の学習戦略:短答試験後の4週間で合格を目指す。
理想は短答試験前に論文試験対策をしておくこと
理想論で言えば短答試験の直前期に(2か月前)入る前にある程度論文の問題を解いておいて、論文の力はつけておきましょう。
そして短答試験後に思い出しながら仕上げましょう。これが理想と言われています。
でも、実際難しいですよね。1年での合格を目指している方は特に余裕ないですよね。
でも、短答試験が終わってからでも大丈夫!
僕も短答試験終わってから始めたので、大丈夫です。
まず論文試験を受けている時点で短答試験に合格するレベルの知識量があるわけです。
しかも皆さんは論文試験も見据えてちゃんと条文を引いていますよね。それがここで生きてくるわけです。
とはいえ、、、、最初全然書けない。。。。ですよね
なんじゃこりゃと。
特に論文の模試の模範解答なんか見ちゃうと余計そうですよね。こんな立派な答案なんて一生書けないと。。。。時間も全く足りないし。
まあまあ落ち着いていきましょう。
大丈夫です。リラックスしてやってきましょう。

最初の2週間は、今年は無理なのかなあって思っちゃってたよ笑
全体のスケジュール感についてはこちらでご紹介しています。
コツ:数学の証明問題のように論文を書く
論文試験は、数学の証明問題に似ています。問題を正確に読み取り、問われていることに対して論理的に答えることが求められます。法文集を活用し、必要な条文や判例を引用しながら、自分の考えを明確に述べることが重要です。
『あれ、これ数学の証明に似てない?』
そうです。理系の皆さん得意の数学の証明に近いんです。
問題をしっかり読んで聞かれたことに答える。要素を書き洩らさない。
おまけに時間が足りない時は全部解かずに部分点取りにいきますよね?
使っていい道具は何ですか?そう、法文集の代わりに定理、公式使っていいんすよね。
そっくりじゃないですか。私は文系じゃないから論文なんて書けない、才能が無いと思ってた人。きっと理系の方が書けます。証明問題を解いてきたあなたが解けないはずが無い。

この発見をcoffeeの定理と呼びます。
効果的な学習法:4ステップの問題演習
ステップ1:模範解答の書き写し
最初の段階では、問題を解くのではなく、模範解答を手書きまたはWordで書き写します。これにより、答案の構成や表現方法を体得できます。
ステップ2:構成の箇条書きと再度の書き写し
次に、問題を読み、解答の構成を箇条書きでまとめます。その後、模範解答を再度書き写し、理解を深めます。
ステップ3:自力での答案作成と比較
3回目は、実際に自分で答案を作成し、模範解答と比較します。不足している点や誤りを確認し、修正します。
→やっぱ解けないところ、間違えているところがあると思うので全文書きor word写ししましょう。
ステップ4:繰り返しとパターンの蓄積
このプロセスを繰り返すことで、様々な問題に対応できるパターンを蓄積し、初見の問題にも柔軟に対応できるようになります。
じゃあ次の問題でもこの方法を行って、また次の問題も、またまた次の問題もこの方法を行っていくうちに自分の中に解答方法をストックされていくんです。
すると、、、ある日気づきます。。。
この問題初めてだけど、あの解答とあの解答の組み合わせやんと。
これが僕は論文試験の3日前くらいで、いけるんじゃないかと当時思いました。
私論文対策の80%はこの勉強しかやってないです。ほんとにこれやってみて下さい。
なぜ弁理士試験の論文試験においてこの勉強法が良いのか
なぜ上記のような勉強法にたどり着いたかを少し解説いたします。
- 大学受験の際、英語の勉強は文章を高速で書き写して暗記していた。
- そもそも書く試験なのだがら書く絶対量は必要である。
- そうはいっても、全て書くと時間がかかるし、疲れてしまうのでwordで代用。
- 実力の付いていない状態で問題を解くことは時間の無駄である。(箇条書きなどで構成を書けば十分。)
- 書き方をマスターするなら同じ問題を繰り返した方が早くマスターできる。
ざっと上げるとこのようになります。
スタディングの「15×3論文勉強法」の活用
スタディングの弁理士講座では、過去の試験問題を分析し、頻出する15の出題パターンを特定しています。これらのパターンに対して、各2問の演習問題と解説動画が用意されており、3サイクル繰り返すことで、論文の書き方を効率的に習得できます。
この勉強法は、論文試験における「型」を身につけるのに最適であり、短期間での合格を目指す受験生にとって有効な手段となります。
15パターンの分け方としては、
私が受けていたStudyingの弁理士講座について知りたい方は下記をご参照ください。
【スタディング】受講者14万人突破!スマホで学べる人気のオンライン資格講座申込 (弁理士)wordで解答丸写しした例(参考)
私の論文試験の解答丸写しした例を下に貼ります。どこかの問題集の問題なので部分的に消させていただいてます。今説明したようにひたすらwordで書いてました。数えたらなんと85ページもありました。

やりがちなNG勉強法
NG①:いきなり答案を白紙から書こうとした
論文試験といえば「答案を書くこと」が目的だと思い、最初から白紙に構成もせず書こうとしました。結果、時間だけかかって全然書けず、途中で筆が止まること多数。
→【改善】まずは模範解答の写経からスタートして、構成力と「型」を身につけるべきでした。
NG②:条文暗記に時間をかけすぎた
短答試験と違い、論文試験では条文が貸与されます。それなのに「条文を完璧に覚えなきゃ!」と焦っていたのは非効率でした。
→【改善】論文では「条文の番号」よりも「条文の趣旨」や「使いどころ」を理解することが大切。
NG③:模範解答を見ても「すごいな〜」で終わっていた
最初のうちは模範解答を見て感心するだけで、自分で再構築したり分析することをしていませんでした。
→【改善】模範解答は分析して、「何が問われているか」「なぜその順番か」を考える癖をつける。
まとめ:論文試験合格への道
弁理士試験の論文式試験は、適切な学習法と戦略を用いることで、短期間での合格も可能です。模範解答の書き写しや構成の箇条書き、自力での答案作成を繰り返すことで、論文の書き方を習得できます。また、スタディングの「15×3論文勉強法」を活用することで、効率的に出題パターンを学ぶことができます。
これらの方法を実践し、継続的に学習を進めることで、論文式試験の合格を目指しましょう。
私が受けていたStudyingの弁理士講座について知りたい方は下記をご参照ください。
【スタディング】受講者14万人突破!スマホで学べる人気のオンライン資格講座申込 (弁理士)