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10万円弁理士coffee|令和3年度弁理士試験に1年・総費用10万円以下で一発合格した現役の企業内弁理士。メーカー開発職→知財部→外資系IT企業。実体験と一次データに基づいて執筆しています。 → 詳しいプロフィール
「短答は過去問の量でなんとかなった。でも論文は、何をどう書けば受かるのかが見えない」——論文式試験は弁理士試験の最大の関門です。最終合格率6.4%・合格者の平均受験回数2.9回(特許庁「弁理士試験統計」)という数字の大部分は、この論文で足止めされた結果です。そして厄介なことに、論文で問われているのは知識量ではなく「書き方の型」。型を知らないまま演習量を積んでも、答案は伸びません。
この記事では、令和3年度に1年・総費用10万円以下で一発合格した筆者が、論文式試験の解き方・時間配分・答案の型を実体験ベースで最初から最後まで解説します。商標の1問目が読めなくても59.5点で合格点を確保できたのは、才能ではなく型のおかげです。その型をこの1記事に全部置いていきます。
この記事でわかること
- 論文試験の概要(特実・意匠・商標)
- 問題文の読み方と構成の立て方
- 設問ごとの解答イメージの作り方
- 実際の答案の書き方と注意点
- 現役合格者が実践した具体的テクニック
論文式試験とは?3科目の概要を押さえよう
まず、弁理士試験の論文式試験は次の3つの科目から構成されます。
| 科目 | 試験時間 | 出題内容 |
|---|---|---|
| 特許・実用新案法 | 2時間 | 大問2題 |
| 意匠法 | 1.5時間 | 大問2題 |
| 商標法 | 1.5時間 | 大問2題 |
一見すると特許・実用新案法の方が時間的に有利に見えますが、問題の分量が非常に多く、実は最も時間配分が厳しい科目です。
法文集について
論文試験では貸与法文集(六法)が一人一人に配られ、それを使って試験に臨みます。名前は「貸与」となっていますが、実際には持ち帰り可能で、口述試験でも別の1冊が配られるため、合計2冊GETできます。
これは合格者あるあるの小ネタですが、しっかり活用しましょう。
また貸与法文集が一人一人に与えられ、それを使いながら問題を解く形になります。

イメージわかない人はメルカリで買ってみてもいいかもね。
解答用紙と筆記具のルール
- 黒または青インクのボールペン・万年筆が指定されています。
- 鉛筆やシャープペンは使用不可ですので注意!
- 消せない分、書く前の構成づくりが超重要になります。
弁理士試験全体について知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
論文試験の具体的な解き方【特許法を例に解説】
特許法は1題あたり1時間で解く必要があります。以下、筆者が実際に実践していた60分の時間配分と解答手順を紹介します。
上で述べたように特許法の試験時間は意匠、商標に比べても一番時間的に辛いので、特許法をきちんと時間通り解ければ問題無いと言えるでしょう。
【STEP1】問題文を読み、構成をまとめる(15分)
まずやるべきは問題文の精読と構成メモ作成です。いきなり書き始めるのはNG!
- 登場人物
- 事案の時系列
- 問題のテーマ
- 条文の該当箇所
このあたりを白紙に図や箇条書きで整理しておきましょう。マーカーやアンダーラインを活用して、読み飛ばしや誤読を防ぐのも有効です。
【STEP2】設問ごとの解答イメージを作る(5分)
構成を踏まえた上で、各設問に何を書くべきかの設計図を作成します。
- 設問(1):新規性について→29条
- 設問(2):進歩性について→29条2項
- 設問(3):不特許事由→32条 etc.
書く内容を見誤ると、後半で大事故になりかねません。特に(1)で書きすぎて(2)の内容が薄くなるミスは多いです。バランスよく構成を考えましょう。
全体のバランスを考えてどの設問でどのくらいの解答が求められているのかを読みましょう。大体どの問題にも均等に配点がされているはずなのでバランスよく書くのが高得点への近道です。
【STEP3】答案作成(40分)
構成が固まったら、あとは時間内に正確に、丁寧に、論理的に書くだけです。
- 条文番号は必ず明記(例:「特許法第29条第1項」)
- 問いに忠実に答える
- 二重線で訂正、修正は最小限に
- 字は丁寧に、大きめに
試験の採点者は大量の答案を読むプロですが、やはり読みやすい答案は印象も良くなります。ボールペンで書くのでとにかく慎重に構成を書き漏らさないように書いていきましょう。

100点満点中47点未満の得点の科目が一つもないことというのが合格の条件になっているので、いくら得点の良い科目があっても、大きなミスを一科目ですると不合格になってしまうよ。
論文試験で合格答案を目指す「型」〜フレームワーク思考〜
「知っている条文と論点を、できるだけたくさん書く」(→ 採点者には“整理できていない答案”に見え、時間も尽きます)
「趣旨→あてはめ→結論の型に沿って、問われたことだけを書く」(→ 短くても点が乗り、時間が余ります)
論文試験で高得点を取るには、法律の知識そのものよりも、「どう構造的に、わかりやすく書くか」が重要です。
特に採点者は、何百通という答案を短時間で見ています。
そのため、読みやすく論理が整理された答案=高評価につながります。
そこでおすすめなのが、以下のような「論述の型」です。
✅ 論述の基本フレーム(型)
以下は、筆者が実際に使用していた基本構成です:
- 問題提起
→「○○が問題となる」と設問趣旨を明確にする - 規範定立
→ 該当条文の趣旨や要件を簡潔に説明
(例:「○○条によれば、〜であることが要件とされている」) - 具体的あてはめ
→ 事案の事実と条文を結びつけて評価する
(「本件では〜であるから、要件を満たす/満たさない」) - 結論
→ 「よって○○に該当する」と明快に締める
📌 具体例:新規性を問う設問の場合
- 問題提起
「本件出願が新規性を欠くか否かが問題となる。」 - 規範定立
「新規性は特許法第29条第1項により、先行技術文献と同一であれば…」 - あてはめ
「本件出願は、引用例1に記載された○○構成と一致しており…」 - 結論
「したがって、本件出願は新規性を欠くと考えられる。」
✍️ 書き始める前に「型に当てはめる構成」を作ろう!
実際の試験では、いきなり本文を書き始めるのは危険です。
まずは下書きや白紙に、上記の型に沿って「各段落に何を書くか」を整理しましょう。
私が実践した論文試験の勉強方法についてはこちらでご紹介しています。
趣旨問題は”万能フレーズ”で攻略|四法の目的規定テンプレ集
論文で「〜の趣旨を論じなさい」「なぜこの制度が必要か」と問われたとき、手が止まる人は多いです。ですが、趣旨問題は各法1条(目的規定)から導ける“万能フレーズ”を数個持っておくだけで、初見でも書き出せます。私が本番で実際に使っていた型とフレーズをそのまま置いておきます。
趣旨問題の書き出しテンプレ(3ステップ)
①趣旨を一言で示す → ②本問の事実に当てはめる → ③結論、の順で書くと崩れません。
「本制度の趣旨は〔目的規定のキーフレーズ〕にある。この趣旨に照らせば、本問では〔事実〕であるから、〔結論〕と解すべきである。」——この骨格に当てはめるだけで、白紙は避けられます。
| 法域 | 目的規定(第1条)のキーフレーズ | 答案で使う“万能フレーズ” |
|---|---|---|
| 特許法 | 発明の保護及び利用を図り、産業の発達に寄与 | 「保護と利用の調和」「産業の発達への寄与」 |
| 実用新案法 | 考案の保護及び利用を図り、産業の発達に寄与 | 「小発明の早期保護(無審査登録)」「保護と利用の調和」 |
| 意匠法 | 意匠の保護及び利用を図り、意匠の創作を奨励 | 「創作の保護」+「需要喚起・信用の保護」の二面性 |
| 商標法 | 商標を保護し、業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護 | 「自他識別機能」「業務上の信用の維持」「出所混同・品質誤認の防止」 |
コツは、「保護と利用の調和」を特許・実用新案・意匠の共通軸にし、商標だけは“信用の維持と需要者保護”に切り替えること。この違いさえ押さえておけば、初見の趣旨問題でも方向を外しません。
実際の答案例と書き方のコツ
筆者が演習で使っていた答案を例に、実践的なテクニックを紹介します。

まず字はこのくらい汚くても読めれば大丈夫です笑
気を付けるポイントは以下です。
▶ 字は大きく、読みやすく
もともと字が汚くても問題ありません。大事なのは「読めること」「疲れさせないこと」です。字を大きめに書くことで、答案全体が整って見えます。
▶ 条文ごとにセクションを分ける
採点者が読みやすいよう、条文ごとに段落・見出しを分けるのがポイントです。たとえば:
- 「第1 新規性(29条1項)について」
- 「第2 進歩性(29条2項)について」
といったように、構造化された書き方を意識しましょう。
▶ 条文番号は後付けでもOK
書くのに時間がかかるなら、本文を先に書いて、後から条文番号を(29条1項)などとカッコ書きで挿入してもOK。時間短縮になります。
▶ 訂正は最小限に、二重線で丁寧に消す
訂正が多いと答案が汚れて読みづらくなります。間違えた箇所は丁寧に二重線で消すようにしましょう。修正箇所は1〜2ヶ所にとどめるのが理想です。
本番の時間配分術|「大問割り+見直し10分」で崩壊を防ぐ
※時間配分だけをさらに深掘りした記事として弁理士論文は時間が足りない?本番で崩壊しない時間配分と3つの鉄則もあります。本記事で全体像を掴んだあとの仕上げにどうぞ。
論文本番で一番怖いのは時間切れです。私の管理方法はシンプルで、試験時間を大問の数で機械的に割り、最後に見直し10分を確保するだけ。あとは大問を1つ終えるごとに時計を見て、予定とのズレを確認しながら進めます。
- 例)特実2時間・大問2問なら「各55分+見直し10分」を開始前に決めてしまう
- 大問単位でチェックポイントを作ると、遅れに早く気づけてリカバリーが利く
- 特許・実用新案は問題数が多く、体感で最も時間がタイトな科目。ここだけは前倒し気味に回す
時間配分の詳しい作り方と「本番で崩壊しかけたときの対処」は弁理士論文は時間が足りない?時間配分の全手順にまとめています。
答案構成のやり方|書き始める前に「配点から逆算」する
問題文を読んだら、すぐ書き始めずに簡単なメモを図の形で作ります。登場人物と時系列、論点の関係を図にするだけで、書き漏れが激減します。
もうひとつ大事なのが配点の予測です。「この設問は配点が大きそうだから、求められている要素は複数あるはず」——そうやって出題者が求めている要素の全体感をつかんでから書き始めると、的外れな答案になりません。配点は答案の設計図です。
【本番のリアル】商標の1問目が「読めなくても」59.5点で受かった話
令和3年度の本番、商標の1問目は「何を聞いているのかわからない」問題でした。正直、頭が真っ白になりかけましたが、とにかく思いついた関連論点を書きなぐって次に進みました。
結果は59.5点で一発合格。特許と意匠で「書くべきことを書けた」ことで、商標の失点をカバーできた形です。ここから言える教訓は2つ——①1問壊れても合格ラインは守れる(標準偏差調整の相対評価なので、難問はみんな書けていない)、②白紙が一番のNG。部分点を拾いに行く。本番で見たことのない問題が出るのは「事故」ではなく仕様です。崩れない心の準備をしておいてください。
合格ラインの注意点
弁理士試験の論文は科目ごとの合格基準があります。
「100点満点中47点未満の科目が1つでもあると不合格」
つまり、どれか1つでも大コケすると足切りになる可能性があります。全体のバランスと安全圏を狙う戦略が重要です。
まとめ|論文試験対策は「構成力」と「慣れ」がカギ!
- 最初は誰でも書けません。でも慣れてくると「型」が身に付きます。
- 解答例や過去問は徹底的に分析し、「構成パターン」を盗みましょう。
- 時間内に正確に書くには、地道なトレーニングが不可欠です。
コメント歓迎!あなたの論文対策、悩んでいませんか?
以上で、筆者の論文試験対策記事は一旦ラストになります。
もし疑問点や知りたいことがあれば、コメント欄で気軽にご質問ください! 私の実体験から、できる限りお答えします!
一緒に合格をつかみ取りましょう!
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