【令和3年度合格者が語る】弁理士試験 口述試験の対策法と再現問答|10万円以下で合格した実体験から解説

論文・口述試験対策

令和3年度、1年間・10万円以下の勉強費用で弁理士試験に合格した現役企業内弁理士が、自身の実体験をもとに口述試験の対策法を徹底解説します。

  1. 口述試験は合格率90%以上?でも絶対に落ちたくないあなたへ
  2. 弁理士試験 口述試験とは?基本概要とスケジュール
    1. 【参考】令和3年度の口述試験スケジュールとテーマ
  3. 再現!実際の口述試験の流れと質問例(令和3年度)
    1. 【入室時の流れ】
    2. 再現問答(一部抜粋)
    3. 【退出時の流れ】
  4. その他の質問例
    1. テーマ:出願公開制度と早期審査
    2. テーマ:意匠の創作非容易性と登録要件
    3. テーマ:識別力と識別力を欠く商標の補正
  5. 弁理士試験 口述試験におすすめの参考書
    1. 【1冊で十分】『弁理士試験 口述試験バイブル』(早稲田経営出版)
        1. 「弁理士試験 口述試験過去問題集」 早稲田経営出版
  6. 現役合格者が実践した!口述試験の効果的な勉強法
    1. ① テキストを声に出して読む
    2. ② 他人に問題を出してもらう
    3. ③ 模試や練習会に参加する
    4. ④ 学習範囲を広く浅くカバーする
  7. まとめ:口述試験は「慣れ」と「簡潔な答え」が合格の鍵
  8. 科目別の難易度と「意匠で詰まる」理由——現役弁理士の実感
    1. 意匠法:改正が多く、細かいところを聞かれると厳しい
    2. 過去問は「同じような問いが繰り返し出る」
  9. よくある質問(FAQ)
  10. 現役弁理士の口述試験当日・直前期のリアル体験談
    1. 会派の練習会・模試はフル活用した
    2. TACの口述模試は「本番より難しすぎて恥ずかしかった」
    3. 失敗談:私服で行ったらみんなスーツだった
    4. 本番当日:小泉進次郎に似た審査官が印象的だった
  11. 最後に|この記事を読んだあなたへ

口述試験は合格率90%以上?でも絶対に落ちたくないあなたへ

弁理士試験は、短答試験・論文試験を突破した後に受ける最後の関門が口述試験です。合格率は例年90%を超えるとはいえ、「ここまで来たら絶対に落ちたくない」というのが本音ですよね。

しかしながら、通信講座や市販教材でも口述対策は手薄で、「何をすれば良いのか分からない」という声をよく聞きます。

本記事では、実際に私が行った低コストかつ効率的な口述対策法や、口述試験の出題傾向、再現問答まで詳しく解説します。

弁理士試験の口述試験の概要について知りたい方はこちらで徹底解説しておりますので、ご参照ください。

弁理士試験 口述試験とは?基本概要とスケジュール

口述試験は、特許・実用新案、意匠、商標の3法から出題されます。1人の受験者に対して、それぞれの科目ごとに試験官から口頭で質問され、答えていく形式です。

【参考】令和3年度の口述試験スケジュールとテーマ

日程特許・実用新案意匠商標
12月18日(土)出願公開、補償金請求権意匠権、実施権商標権全般
12月19日(日)拒絶査定不服審判、前置審査、新規性等マドプロ(マドリッド議定書)

※午前・午後で問題は共通です。午前の受験者は午後の受験者が入室するまで会場から出られません

再現!実際の口述試験の流れと質問例(令和3年度)

以下は、私が実際に受験した際の再現問答例です。

口述試験当日の流れは、かなり緊張するものです。しかし、事前にシミュレーションしておくことで、心の余裕が生まれます。ここでは、実際の入退出の様子を再現問答風にご紹介します。

【入室時の流れ】

(廊下で待機中、係員の合図でドアの前へ)

係員(小声で):「それではどうぞ、お入りください。」

受験生:「失礼いたします。」

(ドアを開けて入室。ドアは自分で静かに閉める)

受験生(一礼):「○○番号、○○と申します。よろしくお願いいたします。」

(試験官2名は着席しており、軽く会釈)

試験官A:「どうぞ、おかけください。」

受験生:「失礼いたします。」

(静かに椅子に腰掛ける)

試験官B:「それでは、試験を始めます。」

→ ここから本題の問答が始まります。

📝 解説ポイント:

  • ノックは不要です(すでに係員の誘導があるため)。
  • ドアは静かに開けて、自分で閉める
  • 入室時の第一声は「失礼いたします。」が基本。
  • 着席前に、「○○番号、○○です」と自己紹介を忘れずに。
  • 着席の合図があるまで座らないこと。

再現問答(一部抜粋)

試験官:「明細書等の補正は特許法の第何条に記載されていますか?」
受験者:「第17条の2です。」

試験官:「補正を認める理由は?」
受験者:「先願主義により出願を急ぐ必要があり、当初から完全に記載するのは困難。そのため一定の制限の下、補正を認めることで出願人の不利益を避けています。」

試験官:「外国語書面出願では、原文と翻訳文のどちらを審査しますか?」
受験者:「翻訳文です。」

このようなやり取りが10問前後、5~6分ほどで完了します。

【退出時の流れ】

(3科目が終了し、少し間を置いて)

試験官A:「これで試験を終了します。」

試験官B:「お疲れさまでした。」

受験生:「ありがとうございました。」

(立ち上がり、椅子の横で一礼)

受験生:「失礼いたします。」

(静かにドアを開けて、退出)

📝 解説ポイント:

  • 最後も一礼で締めくくります。
  • 椅子は戻す必要はありませんが、乱暴に扱わないよう注意
  • 「ありがとうございました」「失礼いたします」の挨拶は、忘れずに丁寧に。
coffee

マスク越しだと意外に声が届かないので大きな声でしゃべる準備をしておこう。

全文完璧に覚える必要は無いので、キーワードを覚えるのと、細かいところは条文をすぐ引いて答えられるようにしよう。

その他の質問例

テーマ:出願公開制度と早期審査

試験官:「出願公開制度について説明してください。」

受験生:「出願公開制度は、出願から1年6ヶ月を経過した特許出願について、審査の有無にかかわらず公開する制度です。公開により、技術情報を社会に還元し、第三者が技術動向を把握できるようにすることを目的としています。」

試験官:「出願公開された出願について、出願人が取り得る措置はありますか?」

受験生:「はい、出願公開により第三者がその発明を業として実施した場合には、公開特許公報に掲載された発明に基づいて補償金請求権を行使できます(特許法65条)。ただし、これは特許が登録された後に限られます。」

試験官:「では、公開後すぐに権利化したい場合、どのような制度がありますか?」

受験生:「早期審査制度があります。これは、一定の条件を満たせば、通常より早く審査してもらえる制度です。例えば、外国出願と同時に行っている場合や、中小企業、個人、大学が出願人である場合などが該当します。」

試験官:「早期審査の申請に際して必要な書類はありますか?」

受験生:「はい、早期審査に関する事情説明書が必要です。加えて、請求項ごとに技術的説明や先行技術との対比など、審査を迅速に行うための情報提供が求められます。」

テーマ:意匠の創作非容易性と登録要件

試験官:「意匠登録に必要な要件を教えてください。」

受験生:「新規性、創作非容易性、公序良俗への違反がないこと、そして工業上利用可能性が求められます。」

試験官:「創作非容易性の判断について、具体的に説明していただけますか?」

受験生:「はい。創作非容易性とは、当業者が既存の意匠や形態等から容易に創作できない程度にデザイン上の創意があるかという要件です。判断は意匠全体の構成、要素の配置、既存のデザインとの相違点などを総合的に勘案します。」

試験官:「たとえば、既存の椅子の形に模様だけを変えた意匠はどうでしょうか?」

受験生:「模様の変化だけでは創作非容易性が認められない可能性があります。ただし、模様が全体の美感に大きな影響を与えている場合には、非容易性が認められる場合もあります。」

試験官:「では、機能を果たす形状が意匠登録できる場合はありますか?」

受験生:「機能上不可欠な形状のみで構成された意匠は登録できません(意匠法5条1項)。ただし、機能と関係ない部分や、機能形状の中に創作性が含まれる場合には、意匠登録が可能となります。」

テーマ:識別力と識別力を欠く商標の補正

試験官:「識別力のない商標とはどのようなものですか?」

受験生:「普通名称、品質・産地・用途等を表示するにすぎない表示、ありふれた記号・数字のみからなるものなど、需要者が出所を識別できない商標です。」

試験官:「識別力がないと判断された場合、どのような対応が取れますか?」

受験生:「主に補正または意見書の提出による対応です。補正により、他の識別力ある要素を加えることで登録可能性を高めることがあります。」

試験官:「例を挙げて説明してください。」

受験生:「たとえば、単に『100%ミルク』という表示は品質表示に過ぎないとして識別力がないとされますが、『ミルクランド100』のように造語的要素を加えれば、識別力があると判断される可能性があります。」

弁理士試験 口述試験におすすめの参考書

【1冊で十分】『弁理士試験 口述試験バイブル』(早稲田経営出版)

  • 令和7年6月現在における最新の法改正に対応
  • 過去11年分の出題傾向を分析
  • 条文・判例・審査基準が明記されていて使いやすい
「弁理士試験 口述試験過去問題集」 早稲田経営出版
  • 平成27年~令和6年の実際の受験体験を再現
  • 実戦形式で慣れるのに最適
  • 2025年3月14日

他にも弁理士試験に必要な参考書等はこちらにまとめていますのでご参照ください。

現役合格者が実践した!口述試験の効果的な勉強法

① テキストを声に出して読む

  • 通勤・移動時間を活用して、ひたすら音読
  • ポイントは「キーワードを押さえて簡潔に答える」こと
  • 完璧な暗記ではなく「答えの骨組み」を覚えるのがコツ

② 他人に問題を出してもらう

  • 対話形式に慣れることが重要
  • 家族や友人に協力してもらい、「聞いて答える」練習をする
  • 答えづらい質問や誤答にも気づけて効果的

③ 模試や練習会に参加する

  • 本番の雰囲気を体験できる
  • 面接形式の緊張感や入退室の動作も確認できる
  • SNSなどで格安で開催している練習会もあり

④ 学習範囲を広く浅くカバーする

  • よく問われるテーマを重点的に学習
  • 一方で、突然マドプロなどが出題される場合もある
  • 条文の位置や概要だけでも押さえておくと安心
coffee

ツイッターとかで安く、口述練習会を開催してたりする人もいるよ。

とにかく慣れることも大事だと思うな~。

まとめ:口述試験は「慣れ」と「簡潔な答え」が合格の鍵

弁理士試験の最後の関門である口述試験は、対策さえすれば誰でも突破できる試験です。

とはいえ、緊張や独特の形式に慣れていないと実力を発揮できないこともあります。この記事で紹介した勉強法を実践して、ぜひ自信を持って本番に臨んでください。

科目別の難易度と「意匠で詰まる」理由——現役弁理士の実感

口述試験は特許・実用新案法、意匠法、商標法の3科目ですが、筆者の実感では科目によって難易度の差があると感じました。

意匠法:改正が多く、細かいところを聞かれると厳しい

3科目の中で最も難しいと感じたのが意匠法です。理由は主に2つあります。

一つ目は法改正が多いこと。内装意匠の保護、画像意匠の保護など、近年の改正内容が口述試験で問われることがあります。「条文は覚えたけど改正の趣旨まで聞かれると詰まる」という場面が生じやすいです。

二つ目は細かい条件を問われやすいこと。特許法と異なり、意匠法は要件の組み合わせが複雑で、「この場合は登録できるか?」という応用問題に対して条文を即座に紐付けるのが難しい場面があります。

過去問は「同じような問いが繰り返し出る」

口述試験の対策として最も効果的なのは過去問の再現問答です。実際の受験生の証言をもとに再現された過去10年分の問答が教材として市販されており、出題テーマが繰り返される傾向が強い口述試験では、これを繰り返し練習することが最短ルートです。

本記事で紹介している再現問答と組み合わせて、「テーマ×科目別」で自分の弱点を洗い出すのが効果的な使い方です。筆者自身、意匠法の改正周りの問答は特に重点的に練習しました。

よくある質問(FAQ)

Q. 口述試験では条文番号まで言わなければなりませんか?
→ 条文番号はできる限り答えたほうが良いですが、言えなくても落ちることはありません。キーワードを盛り込んで答えましょう。

Q. 声が通るか不安です。マスクはどう対策すべき?
→ 声はマスク越しでも届くようにハキハキと大きめに。本番を想定して練習するのがおすすめです。

現役弁理士の口述試験当日・直前期のリアル体験談

会派の練習会・模試はフル活用した

筆者の口述対策は「会派の練習会2か所+合格者が主催する有料講習+TAC口述模試1回」というラインナップでした。

会派の練習会は、弁理士業界の横のつながりを作る場としても機能しており、雰囲気は和やかなものでした。ただし問題の難度は本番よりも高く設定されており、最初は「全然答えられない…」と焦りを感じることも。しかしそれが直前期の勉強のモチベーションになったので、「難しい」と感じるくらいの練習の方が実は本番に強くなれると今は感じています。

TACの口述模試は「本番より難しすぎて恥ずかしかった」

中でも強烈に印象に残っているのがTACの口述模試です。正直に言うと、マジで分からなくて、かなり恥ずかしかった。試験官役の講師の前で言葉が出てこず、沈黙する場面が何度もありました。

ただ、あの模試があったからこそ「本番ではどんな問いにも何か話す」という姿勢が身につきました。口述試験は「完璧な正解を言う試験」ではなく「落ち着いて条文の知識をアウトプットする試験」です。模試での失敗体験が、その認識を腹落ちさせてくれました。

失敗談:私服で行ったらみんなスーツだった

笑い話のようですが、当日の服装で失敗しています。試験会場に私服で行ったら、周りの受験者がほぼ全員スーツを着用していました。口述試験は服装の規定はありませんが、スーツが事実上の「常識」なようです。試験の合否には関係ありませんが、浮いた状態で試験に臨むのは余計な緊張を生みます。当日は平常心で臨めるよう、服装の準備も早めに済ませておくことをおすすめします。

本番当日:小泉進次郎に似た審査官が印象的だった

試験自体はうまくいきました。緊張は当然ありましたが、練習会と模試を通じて「この程度の問いなら答えられる」という感覚が身についていたおかげで、頭が真っ白になることはありませんでした。

そして個人的に印象に残っているのが、担当してくださった審査官のお一人が小泉進次郎氏にそっくりだったこと。緊張している中で「あれ、この人……」と思ってしまい、逆に場が和んだ記憶があります。口述試験は試験官2名と受験者1名の密な空間ですが、試験官も人間です。笑顔で入室し、落ち着いて話すことを意識するだけで印象は変わります。

口述試験対策の結論:本番より難しい練習を積んでおけ
口述試験に向けた私のアドバイスは一つ。「本番よりも難しい環境で練習する」こと。会派の練習会もTACの模試も、本番の難易度を超えた設問が飛んできます。そこで「答えられない」経験を積んでおくことで、本番の問題が「あ、知ってる」と感じられるようになります。合格率90%以上といっても油断は禁物ですが、正しい準備をすれば必ず乗り越えられる試験です。

最後に|この記事を読んだあなたへ

弁理士試験の口述試験対策は、情報が少なくて不安になりがちです。しかし、合格者の実体験に基づいた対策を実践すれば必ず合格できます

このブログでは今後も、低コストで弁理士試験に合格するための情報を発信していきます。ぜひブックマークして、合格への道を一緒に進んでいきましょう!

私が受けていたStudyingの弁理士講座について知りたい方は下記をご参照ください。

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