特許(クレーム、明細書、図面)の読み方~現役の弁理士が教えます~

知財業務全般

この記事は、令和3年度に1年10万円以下で弁理士試験に合格した現役企業内弁理士が実体験を元に書いています。

明細書を読む際に最初は中々苦労しますよね。。知財部の初心者の方はもちろん、開発や研究の方は頻繁に見るわけではないので中々苦労しますよね。

今日は自分なりの読み方や明細書の構成について解説したいと思います。

出願書類はどこで検索する?

特許情報プラットフォーム(J-platpat)

企業独自のシステムがある場合はそちらを利用しましょう。そういったものが無い場合には、J-PlatPatの特許情報プラットフォームを利用すると良いと思います。

独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が提供している特許、実用新案、意匠、商標等を無料で検索できるデータベースになります。

特許情報プラットフォーム|J-PlatPat [JPP] (inpit.go.jp)

特許の検索方法

「特許・実用新案番号照会」

特許、実用新案の番号を入力することで目的の公報を表示することができます。番号があらかじめわかっている場合は、この検索を利用すると良いと思います。

検索できる項目として、特許出願番号、公開番号・公表番号、公告番号、特許番号から検索することができます。

「特許・実用新案検索」

色々な項目を組み合わせて検索をすることができます。

項目としては発明・考案の名称、要約/抄録、請求の範囲、明細書のほかにもFIやFタームの特許分類、出願人、発明者等多くの項目から選んで対象案件を絞り込むことができます。出願前リサーチや侵害防止調査にも使うことができ、高機能な検索が可能となっています。

基本的には請求の範囲か全文検索で、関係するワードで検索するかな。

他にも企業で絞り込みしてもいいかもね

明細書の構成

例として、特開2020-099575を使いたいと思います。

大まかな流れ

大まかな流れとしては

  • 書誌的事項(出願人、発明者とか)
  • 要約書
  • 特許請求の範囲
  • 詳細な説明(背景技術、先行技術文献)
  • 詳細な説明(発明が解決しようとする課題、課題を解決するための手段、発明の効果)
  • 詳細な説明(発明を実施するための形態)
  • 図面

まずは大まかな流れを理解して何がどこにあるかを理解しよう

要約書

表紙の一番下の箇所にあります。その名の通りその文献の要約書が書いてあり、図面にはその要約文と一番関連のある図面が描かれています。

うまくまとめられていますが、請求項1の内容がそのまま書いている場合があるのでその場合は分かりにくい場合もあります。

特許請求の範囲

要約の後には特許請求の範囲が続きます。

請求の範囲は、本出願の特許発明の範囲を定義しています。簡潔にまとめているので、少しわかりにくいところもあります。

特許請求の範囲を見てわけわからなくなっちゃう人も多いよね。。。

僕は最後に見ることも多いよ。

背景技術、先行技術文献

請求項の次には発明の詳細な説明が続きます。

背景技術もしくは先行技術文献が出てきます。ここにはこの発明の基となる従来技術や先行技術が挙げられています。その分野における前提となる技術を学びたい方はこちらの先行技術を詳しく見るのが良いかと思います。

発明が解決しようとする課題、課題を解決するための手段、発明の効果

課題と解決のための手段がこの二項目に書かれています。

ここを見ると全体のストーリーがかなり分かりやすいので、まずは初めにここを読むことをおすすめいたします。

例えば本出願においては、

従来ではランドセルを小型にする再利用があった。

→しかしその場合ランドセルの切断などの加工をしなければならない

→本願は、ランドセルの切断等の加工の必要なく、ランドセルのかぶせをそのまま折りたたみ椅子に再利用することで課題を解決するという構成ですね。

ストーリーを理解するだけで、発明内容がスーッと入ってくるよ。

結局この発明何なの?っていうのが分からないと読みづらいよね。。。

発明を実施するための形態

ここからが本番です。実施形態が細かく書いてあります。

個々の構成は人によって異なりますが、装置の説明→実施例(フローチャート)→効果の流れで書いてあることが多いです。

図面

最後に図面が書かれています。

できれば図面と明細書は見比べながら、読みたいのでページの分割をするか、図面をあらかじめエクセルに貼ってみてもいいと思います。

オススメの明細書の読み方

超上級者編① 要約→図面で理解。

過去に読んだことのある明細書だったり、非常に似たものを見てたり、その分野にかなり精通している場合は、要約と図面を見ただけで分かる場合があります。

特に方法発明であれば、フローチャートを見ただけで分かる場合も多くあります。

分からない言葉があれば明細書の中で検索して、定義が書いてないかどうか、その言葉がどのような意味で使われているかを考えていくというやり方です。

上級者編② 要約→課題→解決手段→図面で理解

これも上級者編ですが、明細書本文の冒頭にある「技術分野」「背景(従来)技術」「発明が解決しようとする課題」「発明の効果」を加えて読むようにすると発明のストーリーが分かりやすくなります。

この方法もある程度その分野に精通している方にお勧めの方法ですね。

中級編③ 要約→課題→解決手段→図面→明細書で理解

これは、明細書本文の冒頭にある「技術分野」「背景(従来)技術」「発明が解決しようとする課題」「発明の効果」を上記と同じように読んでまずストーリーを把握します。

その上で、明細書を下から読んでいきます。

見方としては、下記の方法をおすすめしてます。

  • 図面をエクセルに全部貼る
  • エクセルに貼った図面と明細書を見比べながらメモをエクセルの方に取っていく
  • 上記は明細書を分割表示して確認することもできますが、メモを取った方が良いかと思います。

発明の把握する場合には、一つ目の実施例まで読んだらそこでやめちゃっていいと思うよ~

初級編④ 先行技術の文献から読む。

これは、本当に明細書を上記の手段で呼んでも分からない場合は、先行技術を読みましょう。

先行技術になっている文献は、ある程度基礎発明を選んでいる場合が多いので読んでみましょう。(逆にに読んでいる明細書はかなりマニアックだった技術である場合には、分かりにくい場合があります。)

最後にまとめ

  • 検索ツールを会社等で持ってない場合は、特許情報プラットフォーム(J-platpat)を使おう。
  • 読み方は人それぞれレベルに合わせて変えよう。
  • 基本的には、要約→課題→解決手段→図面→明細書で読みましょう。

本日は、特許(クレーム、明細書、図面)の読み方について、解説いたしました。

また他にも弁理士試験の勉強方法、知財部で仕事内容に解説していますので、ぜひご覧ください。

私が弁理士試験にかけたコストや時間及びおすすめの講座についてはこちらにまとめていますのでご参照ください。

知財関係の転職をご検討中の方はこちらをご参照ください。

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