この記事は、令和3年度に1年10万円以下で弁理士試験に合格した現役企業内弁理士が実体験を元に書いています。
特許や実用新案って意外と身近にどんなのがあるか分からないですよね。私も企業知財部で働くまでは実際どんな特許があるか分かりませんでした。今回は面白特許を紹介して皆さんに特許を身近に感じてほしいと思います。
面白い特許発明① ロバート秋山の梅宮辰夫ものまねTシャツ
ロバート秋山さんが梅宮辰夫さんの体を真似たTシャツネタがありますよね。あのネタTシャツがそのまま出願されてるんです。ちなみに上記は図面です。
出願日は平成28年9月3日(2016.9.3)、登録日は平成30年7月13日(2018.7.13)です。
【発明者】秋山 竜次となっています。
これがどのようにクレーム(請求項)で表現されているかとても気になりますよね。
クレームはどう書かれている?
【請求項1】
プルオーバー型の上衣の前身頃の裏地に人物の顔をかたどった像が前記上衣の上下方向に対して倒立状態で設けられ、前記前身頃の表地に、前記像が有する目の位置を示す目印が設けられ、
前記目印は前記像の目の並び方向に延び、且つ前記像の目の並びの位置と合致した位置に設けられており、前記目印の両端はそれぞれ前記像の輪郭と対応する位置にあることを特徴とする小道具。
出典:特許第6366202号
少し解説を加えておくと、この特許のポイントは表面の目印です。
このMkと呼ばれる表面の星印部分が裏面の梅宮さんの目の位置と一致していること、星印の両端が梅宮さんの顔の輪郭と対応する位置にある。という風に限定されてます。
逆にここを満たしていないとこの特許の権利範囲から外れてしまいます。
なので意外と権利範囲は狭いですね(笑)
背景技術と課題
背景技術と課題も面白いので、載せてみますね。
【背景技術】
観衆に対して芸を行う者等が、自分の顔を瞬時に別人の顔等に変えることで観衆を笑わせ或いは驚かせる芸を披露する場合がある。この場合には、従来、他人の顔等をかたどった絵や写真等から作成したお面(例えば、特許文献1)を用意しておき、これを予め手に持っていたり近くにおいておいたりして、必要なときに取り出すようにしていた。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記お面のような小道具を手にすることなく顔を変化させることができれば、観衆に更に意外性を感じさせて、より一層興趣を高めることができる。そこで本発明は、自分の顔を瞬時に別人の顔に変えてみせるにおいて、観衆の興趣をより一層高めることができる小道具を提供することを目的とする。
出典:特許第6366202号
これ絶対特許事務所の担当者は笑いながら書いてますよね笑
【特許番号】特許第6366202号(P6366202)なので気になる人は特許検索プラットフォーム(J-platPat)で検索して、全文見てみてね。
面白い特許発明② Michael Jacksonの靴
図面見れば一目瞭然ですよね。マイケルジャクソンが『Smooth Criminal』の曲の際に行う体を斜めに傾けるダンス。
あれは靴の方に仕掛けがあって、靴の裏に切り込みがあり、ステージから出る杭を引っ掛けることができるような構造になっています。
図面があんまりマイケル感がなくてちょっと残念かな笑
有名な特許発明① ダイソンの送風機
言わずと知れたダイソンの送風機。独特な形状をしてますよね。こんなの発明したら特許出願しないわけがありません。
日本では、平成28年10月20日(2016.10.20)に出願され、平成30年5月11日(2018.5.11)に登録されています。
有名な特許発明② ルンバ
言わずと知れたルンバです。出願日は平成15年12月2日(2003.12.2)、登録日は平成23年10月7日(2011.10.7)になります。
出願から登録までの期間がかなり長くなっていますが、拒絶査定をされた後に、拒絶査定不服審判を請求して登録になっています。
有名どころの特許はもれなく出願されているね。分割などもたくさん使われていてがんばって広い範囲の特許を獲得しようとした形跡が残ってるね。
有名な特許発明③ ニンテンドースイッチ
最後はニンテンドースイッチですね。
平成28年12月13日(2016.12.13)に出願され、令和1年9月6日(2019.9.6)に登録されています。
クレームはどう書かれている?
【請求項1】
ゲーム処理を実行可能であって本体装置側スライド部材を備える本体装置に装着可能なゲームコントローラであって、
前記ゲームコントローラは、
前記ゲームコントローラの所定面から突出して設けられ、前記本体装置側スライド部材に対して所定のスライド方向にスライド可能に係合することが可能なコントローラ側スライド部材を備え、
前記コントローラ側スライド部材は、前記所定面と実質的に同じ向きの面であって、前記スライド方向に実質的に垂直な方向における一端から他端まで設けられる下段面と、上段面とを有しており、
前記下段面から前記所定面までの距離は、前記上段面から前記所定面までの距離よりも短く、
前記ゲームコントローラは、
前記下段面に設けられる第1操作部を備える、ゲームコントローラ。
出典:特許第6580023号
と書かれています。ポイントはニンテンドースイッチの特徴である「スライド可能に係合することが可能な」というところで、本体部分と左右のコントローラ部分に分かれていることが請求の範囲として書かれています。
最後に
本日は面白い特許、有名な特許を紹介しました。
こんな発明の特許出願担当してみたいですよね~。
これを見て皆さんが少しでも特許に興味を持っていただけたらと思います。
私が弁理士試験にかけたコストや時間及びおすすめの講座についてはこちらにまとめていますのでご参照ください。
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