この記事は、令和3年度に1年10万円以下で弁理士試験に合格した現役企業内弁理士が実体験を元に書いています。
安く合格したいというのは皆さん考えますよね。やっぱり通信講座を取ると大手だと40~50万以上するので、一度は皆さん独学を考えると思います。
今回は私が弁理士試験に合格した経験から独学で合格する方法及びその可能性について分析していきたいと思います。
弁理士とは
弁理士とは、知的財産法(特許法、実用新案法、意匠法、商標法)を取り扱う専門家です。知的財産の権利の取得やライセンス交渉、訴訟の代理などは弁理士の独占業務とされています。
少し簡単な言葉で言うと、特許庁に対して、代理人として特許などの出願をして権利取得を行うことは弁理士にしかできません。
つまり、出願業務などは高度な法律的な知識、手続きに対する専門的知識が必要なため、弁理士試験に合格した弁理士にのみ業務を認めているのです。
弁理士になるためには、弁理士試験に合格し、実務修習に合格しなくてはなりません。
法律の知識の無い人が勝手に出願業務とかしちゃうと企業も、特許庁も困っちゃうよね。
弁理士試験に独学で合格可能かどうか
独学の合格は不可能ではないが、短期では難しい。。
私の知っている限りの合格者の経験談の中から以下のことが言えると思います。
- 独学での合格は不可能ではないが、やはりかなり難しい。
- 聞いた限り、1、2年で独学で合格した人はいない。。。
- 一般的には予備校や通信講座を使うのがオススメ。
やはり独学で合格した人は3年以上の時間をかけて合格した人しか知る限りではいませんでした。
多分独学で弁理士試験に挑んだ際に苦戦するのは以下の点だと思います。
- 基礎動画講座がないので、難しい条文の概要を全て本で理解しなければならない。
- 参考書自体が豊富でなく限られている。
- 動画での学習が無いため、時間を効率的に使えない
- 論文の書き方を教えてもらえない。
- 勉強がワンパターンになってモチベーションを保ちにくい。
逆に言えば上記の点を克服できる強者がいれば、合格も可能だと思います。
独学が向いている人
弁理士試験の独学での合格に向いているのは以下のような人です。
大学受験や高校受験で合格経験がある人
大学受験や高校受験で長期間努力して、合格したという成功体験がある方は独学に向いています。
過去の体験からどのように長期間勉強するコツなどを生かして勉強を進められると思います。
弁理士試験以外での他の資格、試験など合格経験がある方も同様です。
普段から勉強の習慣がある人
普段から勉強習慣を持っている人は独学に向いています。
勉強習慣でなくても筋トレなど、毎朝毎日している方はその時間を弁理士試験の勉強に変えるだけなので、スムーズに勉強を開始できます。
僕も普段から本読んだり、英語の勉強したり、筋トレしてたのでその時間を弁理士試験に宛てました。
情報収集力が高い人
独学で勉強をするとなると情報が命です。
講座を受講していれば最新の試験の傾向などは予備校が勝手に教えてくれますが、独学となると中々厳しいです。
中には、参考書がupdateされていないという場合もあります。
そんな際にSNSや周りの受験者に連絡を取って最新情報を手に入れることが大事です。
こういったブログを見たりするのも情報収集の一つだね
独学の人が気を付けるべきポイント
スケジュール、コストを最初に計画する
スケジュールやコストは最初のうちにきちんと計画しておきましょう。
何円、何時間、何年で合格するというのを具体的に最初に決めます。
マイペースにやっていたり、無駄な参考書を買い過ぎて結果的に講座を受講した方が安かったということには絶対にならないようにしましょう。
途中で投げ出さない
どうしても、独学の場合はかけたコストが少ないので、投げ出しがちです。
きちんと覚悟を決めて周りの人に宣言したり、SNSに書いたりして逃げ出さないような努力をすることも大切です。
逆に50万円とかかけると絶対に受かろうってなるよね
独学で弁理士試験を目指そうとするといくらかかる?
- メインテキスト 12,100円
- 法文集 9,700円
- 短答試験用問題集 8,030円
- 論文試験用問題集 7,150円
- 口述試験用問題集 5,280円
- 論文試験模試 約20,000円
合計62,260円でした。ここに挙げたのは最低限必要なものになります。
できることなら短答試験模試も受けておきたいところです。以下必要なテキストの詳細を説明します。
独学の合格に必要な参考書
メインテキスト
★ 弁理士試験 エレメンツ 4,620円、4,180円、3,300円
独学で勉強する人のために必要なテキストです。
市販でメインテキストとして売られているのはこれだけです。
法文集編
★弁理士試験 四法横断法文集 (TAC弁理士講座) 5,500円
言わずと知れた四法横断法文集です。受験生ならみんな持っていると思いますし、必須だと思います。
なんといっても、4法同時に見比べることができるため、4法暗記にはかなり効率的で短答試験対策には必須になります。毎年細かい法改正が行われているので、ケチらずに最新のものを買うようにしましょう。
また書き込みスペースが広く、語呂合わせや施行規則の細かいことなどをメモして使えるのも魅力です。
★ 知的財産権法文集 (PATECH企画出版部) 4,207円
こちらの知的財産権法文集は主に論文の試験用に使うことになります。法文集は四法横断法文集じゃだめなのかと思う方もいるかもしれませんがダメです。
論文試験では、当日法文集の貸与がされるのですが、その貸与法文集に一番近いのがこちらの知的財産権法文集になります。
私もこの法文集を購入して、論文対策の演習を行っていました。コンパクトで持ち運びしやすいというところもメリットの一つです。
ちなみに論文試験の模擬試験では、貸与されませんのでこの法文集を持ち込んでテストを受けることになります。
他にも法文集はあるかと思いますが、私はこの2つで十分だと思っています。
短答試験用問題集
★ 弁理士試験 体系別短答過去問 (東京リーガルマインド)4,950円、3,080円
短答試験の問題演習にはこちらをオススメいたします。というか絶対必要です笑
なんといっても過去10年分の問題がのっています。特許法、実用新案法、意匠法、商標法で一冊、条約・著作権法・不正競争防止法で1冊ありますので、両方買いましょう。
この10年分の問題を演習しつくしてから、本番に臨むのが必須と言っても過言ではないです。
論文試験用問題集
★ 弁理士試験 論文式試験 過去問題集(早稲田経営出版) 7150円
弁理士試験の過去問演習はこちらの 弁理士試験 論文式試験 過去問題集(早稲田経営出版)を購入しましょう。
正直これだけだと演習量はちょっと足りないかなあという印象があります。
口述試験用問題集
★ 弁理士試験 口述試験バイブル 5,280円
口述試験対策としても参考書を一冊買っておく必要があります。
私はこの問題集だけを使って合格しました。過去11年分の口述試験を徹底分析して、構成されていて、この一冊で口述対策は十分なボリュームがあります。
また、記憶すべき条文・判例や、青本・審査基準の参照先を明示してあるので、便利です。
独学での弁理士試験合格のための勉強法
①基礎としての概要の理解
弁理士試験 エレメンツと弁理士試験 四法横断法文集 (TAC弁理士講座)を使って読み進めていくことになります。
ここの勉強が一切動画が無いのでちょっとしんどいと思います。
トータルで2,3周は読むことが必要です。
②短答試験対策
弁理士試験 体系別短答過去問 (東京リーガルマインド)を使って問題を解いていきます。
正直基礎の理解がなんとか終わればここはそんなに苦しくないのかと思います。
問題を解いて、その部分を四法横断法文集にマーカーしたり書き込んでいきます。講座受講者も同じことをするのでこの部分ではあまり差がつかないと思います。
短答試験対策の勉強方法は下記で解説していますのでご参照ください。
③論文試験対策
独学での勉強をする方は、ここで一番苦戦すると思います。なぜなら論文の解答の書き方は、特殊で問題集をちょっと解いたくらいでは身につかないからです。
頑張り方としては下記があると考えています。
- 丸写しをたくさんして体で覚える
- メルカリ等で通信講座テキストを購入
- 知り合いに教えてもらう
- 論文だけ通信講座を取る
いずれにしても時間かお金を使ってしまうことになると思います。
論文試験対策の勉強方法は下記で解説していますのでご参照ください。
④口述試験対策
ここまで来ちゃえば独学の人も通信講座受講の人も差は無くなってきます。
あとは弁理士試験 口述試験バイブルをつかってガンガンに勉強を進めていきましょう。
基本は音読で、ペアを組んで問題を友達に出してもらって本番の形式に慣れるのも良いでしょう。
口述試験で問われる実際の問題と勉強方法を知りたい方はこちらをご参照ください。
早期合格を目指したいがお金をかけたくない人はStudyingがオススメ
しかし、最近ではstudyingで低価格な通信講座を受けることができるので、あまり独学にこだわって時間を失うことはオススメいたしません。
studyngならトータルで10万円行かない額で合格を目指すことができます。
私が弁理士試験にかけたコストや時間及びおすすめのstudyng講座についてはこちらにまとめていますのでご参照ください。
独学で2年以上かけるより、studyingで1年で合格するのが一番お得だと思うよ。
まとめ
- 独学での合格は不可能ではないが、やはりかなり難しい。
- 聞いた限り、1、2年で独学で合格した人はいない。。。
- 一般的には予備校や通信講座を使うのがオススメ。
- 特に基礎講座と論文の書き方を覚える点で苦戦する。
- 早期合格を目指したいがお金をかけたくない人はStudyingがオススメ
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