【令和3年度合格者が語る】弁理士試験 口述試験の対策法と再現問答|10万円以下で合格した実体験から解説

弁理士試験(論文、口述試験対策)

令和3年度、1年間・10万円以下の勉強費用で弁理士試験に合格した現役企業内弁理士が、自身の実体験をもとに口述試験の対策法を徹底解説します。

口述試験は合格率90%以上?でも絶対に落ちたくないあなたへ

弁理士試験は、短答試験・論文試験を突破した後に受ける最後の関門が口述試験です。合格率は例年90%を超えるとはいえ、「ここまで来たら絶対に落ちたくない」というのが本音ですよね。

しかしながら、通信講座や市販教材でも口述対策は手薄で、「何をすれば良いのか分からない」という声をよく聞きます。

本記事では、実際に私が行った低コストかつ効率的な口述対策法や、口述試験の出題傾向、再現問答まで詳しく解説します。

弁理士試験の口述試験の概要について知りたい方はこちらで徹底解説しておりますので、ご参照ください。

弁理士試験 口述試験とは?基本概要とスケジュール

口述試験は、特許・実用新案、意匠、商標の3法から出題されます。1人の受験者に対して、それぞれの科目ごとに試験官から口頭で質問され、答えていく形式です。

【参考】令和3年度の口述試験スケジュールとテーマ

日程特許・実用新案意匠商標
12月18日(土)出願公開、補償金請求権意匠権、実施権商標権全般
12月19日(日)拒絶査定不服審判、前置審査、新規性等マドプロ(マドリッド議定書)

※午前・午後で問題は共通です。午前の受験者は午後の受験者が入室するまで会場から出られません

再現!実際の口述試験の流れと質問例(令和3年度)

以下は、私が実際に受験した際の再現問答例です。

口述試験当日の流れは、かなり緊張するものです。しかし、事前にシミュレーションしておくことで、心の余裕が生まれます。ここでは、実際の入退出の様子を再現問答風にご紹介します。

【入室時の流れ】

(廊下で待機中、係員の合図でドアの前へ)

係員(小声で):「それではどうぞ、お入りください。」

受験生:「失礼いたします。」

(ドアを開けて入室。ドアは自分で静かに閉める)

受験生(一礼):「○○番号、○○と申します。よろしくお願いいたします。」

(試験官2名は着席しており、軽く会釈)

試験官A:「どうぞ、おかけください。」

受験生:「失礼いたします。」

(静かに椅子に腰掛ける)

試験官B:「それでは、試験を始めます。」

→ ここから本題の問答が始まります。

📝 解説ポイント:

  • ノックは不要です(すでに係員の誘導があるため)。
  • ドアは静かに開けて、自分で閉める
  • 入室時の第一声は「失礼いたします。」が基本。
  • 着席前に、「○○番号、○○です」と自己紹介を忘れずに。
  • 着席の合図があるまで座らないこと。

再現問答(一部抜粋)

試験官:「明細書等の補正は特許法の第何条に記載されていますか?」
受験者:「第17条の2です。」

試験官:「補正を認める理由は?」
受験者:「先願主義により出願を急ぐ必要があり、当初から完全に記載するのは困難。そのため一定の制限の下、補正を認めることで出願人の不利益を避けています。」

試験官:「外国語書面出願では、原文と翻訳文のどちらを審査しますか?」
受験者:「翻訳文です。」

このようなやり取りが10問前後、5~6分ほどで完了します。

【退出時の流れ】

(3科目が終了し、少し間を置いて)

試験官A:「これで試験を終了します。」

試験官B:「お疲れさまでした。」

受験生:「ありがとうございました。」

(立ち上がり、椅子の横で一礼)

受験生:「失礼いたします。」

(静かにドアを開けて、退出)

📝 解説ポイント:

  • 最後も一礼で締めくくります。
  • 椅子は戻す必要はありませんが、乱暴に扱わないよう注意
  • 「ありがとうございました」「失礼いたします」の挨拶は、忘れずに丁寧に。

マスク越しだと意外に声が届かないので大きな声でしゃべる準備をしておこう。

全文完璧に覚える必要は無いので、キーワードを覚えるのと、細かいところは条文をすぐ引いて答えられるようにしよう。

その他の質問例

テーマ:出願公開制度と早期審査

試験官:「出願公開制度について説明してください。」

受験生:「出願公開制度は、出願から1年6ヶ月を経過した特許出願について、審査の有無にかかわらず公開する制度です。公開により、技術情報を社会に還元し、第三者が技術動向を把握できるようにすることを目的としています。」

試験官:「出願公開された出願について、出願人が取り得る措置はありますか?」

受験生:「はい、出願公開により第三者がその発明を業として実施した場合には、公開特許公報に掲載された発明に基づいて補償金請求権を行使できます(特許法65条)。ただし、これは特許が登録された後に限られます。」

試験官:「では、公開後すぐに権利化したい場合、どのような制度がありますか?」

受験生:「早期審査制度があります。これは、一定の条件を満たせば、通常より早く審査してもらえる制度です。例えば、外国出願と同時に行っている場合や、中小企業、個人、大学が出願人である場合などが該当します。」

試験官:「早期審査の申請に際して必要な書類はありますか?」

受験生:「はい、早期審査に関する事情説明書が必要です。加えて、請求項ごとに技術的説明や先行技術との対比など、審査を迅速に行うための情報提供が求められます。」

テーマ:意匠の創作非容易性と登録要件

試験官:「意匠登録に必要な要件を教えてください。」

受験生:「新規性、創作非容易性、公序良俗への違反がないこと、そして工業上利用可能性が求められます。」

試験官:「創作非容易性の判断について、具体的に説明していただけますか?」

受験生:「はい。創作非容易性とは、当業者が既存の意匠や形態等から容易に創作できない程度にデザイン上の創意があるかという要件です。判断は意匠全体の構成、要素の配置、既存のデザインとの相違点などを総合的に勘案します。」

試験官:「たとえば、既存の椅子の形に模様だけを変えた意匠はどうでしょうか?」

受験生:「模様の変化だけでは創作非容易性が認められない可能性があります。ただし、模様が全体の美感に大きな影響を与えている場合には、非容易性が認められる場合もあります。」

試験官:「では、機能を果たす形状が意匠登録できる場合はありますか?」

受験生:「機能上不可欠な形状のみで構成された意匠は登録できません(意匠法5条1項)。ただし、機能と関係ない部分や、機能形状の中に創作性が含まれる場合には、意匠登録が可能となります。」

テーマ:識別力と識別力を欠く商標の補正

試験官:「識別力のない商標とはどのようなものですか?」

受験生:「普通名称、品質・産地・用途等を表示するにすぎない表示、ありふれた記号・数字のみからなるものなど、需要者が出所を識別できない商標です。」

試験官:「識別力がないと判断された場合、どのような対応が取れますか?」

受験生:「主に補正または意見書の提出による対応です。補正により、他の識別力ある要素を加えることで登録可能性を高めることがあります。」

試験官:「例を挙げて説明してください。」

受験生:「たとえば、単に『100%ミルク』という表示は品質表示に過ぎないとして識別力がないとされますが、『ミルクランド100』のように造語的要素を加えれば、識別力があると判断される可能性があります。」

弁理士試験 口述試験におすすめの参考書

【1冊で十分】『弁理士試験 口述試験バイブル』(早稲田経営出版)

  • 令和7年6月現在における最新の法改正に対応
  • 過去11年分の出題傾向を分析
  • 条文・判例・審査基準が明記されていて使いやすい
「弁理士試験 口述試験過去問題集」 早稲田経営出版
  • 平成27年~令和6年の実際の受験体験を再現
  • 実戦形式で慣れるのに最適
  • 2025年3月14日

他にも弁理士試験に必要な参考書等はこちらにまとめていますのでご参照ください。

現役合格者が実践した!口述試験の効果的な勉強法

① テキストを声に出して読む

  • 通勤・移動時間を活用して、ひたすら音読
  • ポイントは「キーワードを押さえて簡潔に答える」こと
  • 完璧な暗記ではなく「答えの骨組み」を覚えるのがコツ

② 他人に問題を出してもらう

  • 対話形式に慣れることが重要
  • 家族や友人に協力してもらい、「聞いて答える」練習をする
  • 答えづらい質問や誤答にも気づけて効果的

③ 模試や練習会に参加する

  • 本番の雰囲気を体験できる
  • 面接形式の緊張感や入退室の動作も確認できる
  • SNSなどで格安で開催している練習会もあり

④ 学習範囲を広く浅くカバーする

  • よく問われるテーマを重点的に学習
  • 一方で、突然マドプロなどが出題される場合もある
  • 条文の位置や概要だけでも押さえておくと安心

ツイッターとかで安く、口述練習会を開催してたりする人もいるよ。

とにかく慣れることも大事だと思うな~。

まとめ:口述試験は「慣れ」と「簡潔な答え」が合格の鍵

弁理士試験の最後の関門である口述試験は、対策さえすれば誰でも突破できる試験です。

とはいえ、緊張や独特の形式に慣れていないと実力を発揮できないこともあります。この記事で紹介した勉強法を実践して、ぜひ自信を持って本番に臨んでください。

よくある質問(FAQ)

Q. 口述試験では条文番号まで言わなければなりませんか?
→ 条文番号はできる限り答えたほうが良いですが、言えなくても落ちることはありません。キーワードを盛り込んで答えましょう。

Q. 声が通るか不安です。マスクはどう対策すべき?
→ 声はマスク越しでも届くようにハキハキと大きめに。本番を想定して練習するのがおすすめです。

最後に|この記事を読んだあなたへ

弁理士試験の口述試験対策は、情報が少なくて不安になりがちです。しかし、合格者の実体験に基づいた対策を実践すれば必ず合格できます

このブログでは今後も、低コストで弁理士試験に合格するための情報を発信していきます。ぜひブックマークして、合格への道を一緒に進んでいきましょう!

私が受けていたStudyingの弁理士講座について知りたい方は下記をご参照ください。

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