本記事は、令和3年度に1年間・10万円以下の費用で弁理士試験に合格した現役企業内弁理士が、実体験に基づき執筆しています。
弁理士試験に合格するためには、適切な教材選びが非常に重要です。しかし、市販の参考書は数多く、何を選べばよいのか迷う方も多いはずです。
本記事では、弁理士試験に本当に必要な参考書だけを厳選してご紹介します。独学、通信講座利用者、どちらの受験スタイルにも対応した評価を付けており、必須度を3段階(★★★・★★・★)に分類しました。
- ★★★:全受験生必須レベル
- ★★:通信講座で演習量が不足している方向け
- ★:独学者向けの補助教材
不要な教材に無駄な出費をせず、効率的に合格を目指す参考になれば幸いです。
法文集編:条文対策に必須!暗記と理解の土台
★★★ 四法横断法文集(TAC弁理士講座)
■ 法改正対応が早く、毎年最新版が出る
■ 特許・実案・意匠・商標の4法を横断的に見比べられる
■ 書き込みスペースが広くて実用性が高い
【体験談】
私は、この法文集にすべての語呂合わせや論点を書き込み、短答試験前1週間はこれだけをひたすら読み込みました。「ワンピースで言うと“この世の全てをそこに置いてきた”レベルの一冊」と言われることも(笑)
【口コミ】
「通勤中に読み込むために持ち歩いていた」
「法改正にもすぐ対応してくれるので安心」
受験生の多くが利用する定番の法文集です。特許法・実用新案法・意匠法・商標法の4法を同時に見比べられる構成で、短答式試験の条文対策には必須です。
★★★【PATECH】知的財産権法文集(論文対策)
■ 本番で貸与される法文集に近い形式
■ 論文試験の演習では必携
■ 書き込み禁止で使うのが王道
【体験談】
私はこの法文集を“書き込み一切禁止”で使い、常に本番を想定した演習に使用していました。模試でも必ず持参。慣れておくと本番での焦りが全く違います。
【ワンポイント】
論文試験では貸与される法文集の形式に慣れておくことが極めて重要。法文の配置や字間の感覚まで染み込ませるようにしましょう。

ちなみに僕は本番を意識して、全く書き込まずに使ってたよ。
他にも法文集はあるかと思いますが、私はこの2つで十分だと思っています。
【短答対策編】過去問こそ王道、反復こそ合格への近道
★★★【LEC】体系別短答過去問(10年分)
■ 過去10年分を体系的に収録
■ 分冊(四法編+条約・著作権法編)が便利
■ 初学者〜上級者まで必須の過去問集
【体験談】
私はこの過去問を4周しました。間違えた問題には日付を書き、次回復習の目安に。「最低でも3周」は先輩合格者の鉄則と言われています。
【口コミ】
「過去問から頻出傾向を掴めたおかげで、短答に自信がついた」
「解説が非常に丁寧で、自習でも理解しやすい」

僕は大体4周くらいやって本番を迎えたかな
★★【早稲田経営出版】枝別過去問題集
■ 条文順に並んでいるので復習しやすい
■ 法文集と併用することで、体系的理解が深まる
■ 初期のインプット期におすすめ
【体験談】
短答の初期にはこちらを活用。条文と問題をリンクさせて覚えられるため、理解がグッと深まりました。薄くて携帯しやすいのも魅力です。

このテキストで問題を解くと、1条から順番に復習できるので理想の勉強方法かもね。
【論文対策編】実戦力と書き方の両方を鍛える
★★★ 弁理士試験 論文式試験 過去問題集(早稲田経営出版)
■ 論文の構成・答案作成のコツがつかめる
■ 解答例が秀逸で、記載スタイルの参考になる
■ 予備校レベルの演習ができる
【体験談】
初めての論文演習で、「何を書けばいいのか分からない」という不安が一掃されました。論文の骨組みやフレーズを真似するだけでも効果絶大でした。
★★ 弁理士試験 論文マニュアル(早稲田経営出版)
■ 論文の書き方に特化した教材
■ 通信講座の補足教材として有効
■ 独学の人の「論文の型」習得に◎
【口コミ】
- 「通信講座だけでは不安だったが、これで補えた」
- 「“型”が分かることで一気に書けるようになった」
【口述対策編】一冊に絞るのが合格への近道
★★★ 弁理士試験 口述試験バイブル
■ 過去11年の問題を徹底分析
■ 判例や条文へのリンクが明快
■ 通信講座に頼らずとも合格ラインへ
【体験談】
私はこのバイブルだけを徹底的に暗記して口述試験に挑みました。実際の口述は8割以上がこの本から出題されたような内容だったので、かなり効率的でした。
★★ 弁理士試験 口述試験過去問題集
■ 実際の再現問答をQ&A形式で収録
■ 試験の空気感を味わえる構成
■ 不安な人はバイブルと併用を

通信講座では、口述対策に十分サポートが無い場合が多いので、一冊購入しておくことをおすすめするよ。
【基礎教材編】独学なら必要、通信講座組は不要
★ 弁理士試験 エレメンツ
■ 独学者向けに設計されたテキスト
■ 基礎から丁寧に解説
■ Studying等の通信講座がない場合の補助教材に
【体験談】
私は通信講座(Studying)をメインに使ったので購入していませんでしたが、独学の同期は「必須の一冊」と絶賛していました。
しかし、最近ではstudyingで低価格な通信講座を受けることができるので、あまり独学にこだわって時間を失うことはオススメいたしません。
私が受けていたStudyingの弁理士講座について知りたい方は下記をご参照ください。
【スタディング】受講者14万人突破!スマホで学べる人気のオンライン資格講座申込 (弁理士)
独学で2年以上かけるより、studyingで1年で合格するのが一番お得だと思うよ。
【その他編】ダウンロードやWeb活用で十分な資料も
★★ 青本(工業所有権法逐条解説)
■ 条文の趣旨や背景を把握するのに便利
■ 特許庁のWebサイトから無料でダウンロード可
■ 通信講座で抜粋されるので、全体を読む必要は無し
特許庁のホームページでダウンロードできますので、ダウンロードして電子で持ち歩くのがいいかなと思います。
★★ 各種審査基準(特許・意匠・商標)
■ 必要箇所をピンポイントで活用
■ 書籍版よりもWeb参照がスマート
■ PDFダウンロード推奨
特許審査基準、意匠審査基準、商標審査基準のリンクを張っておきます。

こういうサイト見ると何でも買わせようとするから気を付けてね。
ホントに必要なものだけ買うようにしようね~。
通信講座 vs 市販教材──どちらを選ぶ?現役弁理士が語る最適な使い分け方
弁理士試験に挑む際、多くの受験生が最初に悩むのが「通信講座を受講すべきか、それとも市販教材だけで独学するべきか?」という問題です。私は、Studyingを中心にしつつ市販教材を組み合わせて10万円以内で合格しました。その経験から、両者のメリット・デメリット、そしてベストな活用法をお伝えします。
私が合格した際の年間スケジュールは下記をご参照ください。
通信講座のメリット・デメリット
【代表例】Studying、TAC、LECなど
メリット:
- カリキュラムが体系的に整備されており、何を・いつ勉強すればいいか迷わない
- 動画講義によって、初学者でも理解しやすい
- 添削や質問サポートなどのフォロー体制が充実している(※Studyingは質問回数に制限あり)
- スマホやタブレットでも視聴でき、スキマ時間の学習に便利
デメリット:
- 料金が高め(5万〜20万円が相場)
- 教材のボリュームが多く、消化不良になる人も
- 市販教材ほど細かい問題演習は少ないケースがある
筆者の声:
私の場合、Studyingの講義で知識をインプットし、市販の過去問集でアウトプットを強化しました。Studyingは5万円ほどで、基礎固めには本当に最適でしたが、演習量だけは少なめと感じました。
市販教材だけで代替できるのか?
「市販教材だけで合格できるの?」という質問をよく受けます。結論から言うと、可能ではありますが、時間と根気が必要です。
市販教材のメリット:
- コストが安い(参考書1冊あたり2,000~3,000円程度)
- 自分のペースで進められる
- 必要な教材だけを選べるのでムダが少ない
デメリット:
- 初学者には理解が難しい箇所もある(特に法文集や論文対策)
- 勉強の順番やペースを自分で決めなければならない
- 独学ゆえ、モチベーション維持が難しい
実際の口コミ例:
- 「途中で何を勉強すればいいか分からなくなり、結局通信講座に切り替えた」(30代・会社員)
- 「安く済んだけど、2回受験する羽目になった。最初から講座受けとけば…」(20代・大学院生)
両者を組み合わせるのがベストな選択
おすすめは、通信講座で基礎固め → 市販教材でアウトプット強化というスタイルです。
具体的には以下のような使い分けが効果的です:
学習内容 | 通信講座(例:Studying) | 市販教材(例:早稲田経営出版) |
---|---|---|
法律の基礎理解 | ◎ 分かりやすい講義で定着 | △ 初学者には難しいことも |
過去問演習 | △ 問題数が少なめ | ◎ 過去10年分以上の演習が可能 |
論文対策 | ◯ 書き方の解説あり | ◎ 過去問+論文マニュアル充実 |
口述試験 | △ 簡易な対策が多い | ◎ 口述バイブル等の専用書が便利 |
筆者の勉強法:
- Studyingで1周インプット(約3ヶ月)
- 体系別短答過去問で4周アウトプット(約4ヶ月)
- 論文過去問&バイブルで仕上げ(約2ヶ月)
→ 合計10ヶ月程度で合格に至りました。
まとめ:最小限の投資で最大の効果を!
この記事で紹介した参考書は、実際に合格した私が厳選した「コスパ最強の教材」です。
市販教材に惑わされず、本当に必要なものだけを選びましょう。余計な出費や遠回りをせず、効率的に合格することが可能です。
私が受けていたStudyingの弁理士講座について知りたい方は下記をご参照ください。
【スタディング】受講者14万人突破!スマホで学べる人気のオンライン資格講座申込 (弁理士)
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