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10万円弁理士coffee|令和3年度弁理士試験に1年・総費用10万円以下で一発合格した現役の企業内弁理士。メーカー開発職→知財部→外資系IT企業。実体験と一次データに基づいて執筆しています。 → 詳しいプロフィール
2026年9月18日、特許庁が令和8年度弁理士試験 論文式筆記試験の合格発表を行いました。合格者は201名。必須科目の受験者804名に対して合格率25.0%で、これは過去6年間で最も低い数字です。
この記事では、特許庁が公表している統計PDFを令和3年度から6年分並べて、今年の結果がどういう位置にあるのかを数字で読みます。予備校の見立てではなく、一次資料の数字だけを使います。受かった方には口述試験(10月17日〜19日)までの4週間の使い方を、届かなかった方には来年の立ち位置を、それぞれ最後に書きました。
令和8年度 論文式試験の結果(9月18日発表)
まず今年の数字です。カッコ内は前年(令和7年度)の値で、いずれも特許庁の合格発表PDFと受験者統計PDFから取っています。
| 項目 | 令和8年度 | 令和7年度 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 志願者数 | 3,548名 | 3,501名 | +47 |
| 短答式 受験者 | 2,786名 | 2,775名 | +11 |
| 短答式 合格者(合格点) | 459名(39点) | 355名 | +104(+29%) |
| 論文式(必須)受験者 | 804名 | 715名 | +89(+12%) |
| 論文式 合格者 | 201名(東京133・大阪68) | 205名 | −4 |
| 論文式 合格率 | 25.0% | 28.7% | −3.7pt |
| 志願者に対する論文合格率 | 5.7% | 5.9% | −0.2pt |
目を引くのは2つです。短答の合格者が355名から459名へ29%増えたこと、そしてそれにもかかわらず論文の合格者は201名と、ほぼ前年と同じだったことです。母数が増えて合格者が据え置かれたので、合格率は下がりました。
6年分を並べると、今年の位置が見える
1年分の数字だけを見ると「今年は厳しかった」で終わってしまいます。令和3年度から並べます。論文式(必須科目)の受験者数、合格者数、合格率です。
| 年度 | 論文 受験者 | 論文 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和3年度 | 805名 | 211名 | 26.2% |
| 令和4年度 | 655名 | 179名 | 27.3% |
| 令和5年度 | 621名 | 179名 | 28.8% |
| 令和6年度 | 654名 | 185名 | 28.3% |
| 令和7年度 | 715名 | 205名 | 28.7% |
| 令和8年度 | 804名 | 201名 | 25.0% |
合格者数は6年間ずっと179〜211名の幅に収まっています。受験者数は621名から805名まで3割近く動いているのに、合格者数はほとんど動かない。この6年の数字を素直に読むと、論文式は「一定の点数を超えた人を全員通す試験」というより、合格者数がある程度の幅に落ち着く運用になっているように見えます。これは私の推測で、特許庁がそう公表しているわけではありませんが、受験者が増えた年に合格率が下がるという動きは、令和3年度(805名・26.2%)と令和8年度(804名・25.0%)で同じ形をしています。
なぜ今年は論文合格率が下がったのか
原因は論文の側ではなく、短答の側にあります。
令和8年度の短答式は合格点が39点で、合格者は459名。前年の355名から104名増えました。短答の合格率は12.8%から16.5%に上がっています。短答を通った人はそのまま論文に進むので、論文の受験者は715名から804名に増えました。
一方で論文の合格者は201名。前年から4名減っただけです。つまり今年は「短答で多く通し、論文で絞った」年でした。論文を受けた方の体感として「周りのレベルが高かった」「例年より厳しかった」と感じたなら、それは母数の増え方から見て自然な感覚です。受験者が89名増えて合格者が4名減ったので、受かるために必要な相対的な位置は前年より上がっています。
この構造は来年にも影響します。令和8年度の短答合格者459名は、令和9年度・令和10年度の短答が免除されます。前年より100名以上多い短答免除者が、来年の論文に上乗せされます。来年の論文受験者は、今年の804名からさらに増える可能性が高いということです。
届かなかった方へ:来年の立ち位置を整理する
免除の期間を正確に押さえておきます。受験案内に書かれている通りです。
- 短答式の免除:短答合格発表の日から2年間。令和8年度に短答を通った方は、令和9年度・令和10年度の短答が免除されます。
- 論文式(必須)の免除:論文合格発表の日から2年間。今年論文に届かなかった方には、この免除はありません。
- 短答免除の2年目(令和7年度に短答合格→今年論文2回目)だった方は、来年は短答からの受け直しになります。
今年短答を通って論文に届かなかった方は、来年は論文だけに1年を使えます。上で見たように来年の論文は競争が増える見込みなので、「論文だけの年」を確実に取りにいく必要があります。論文の学習を短答終了後に始めて4週間で答案の型を作った手順は、短答後4週間の論文勉強法にまとめています。今回は1年あるので、この手順を時間をかけて回せます。
短答からの受け直しになる方は、令和8年度の短答が合格点39点・合格率16.5%と、近年では通りやすい年だったことを覚えておいてください。来年も同じとは限りません。短答の合格基準点と時間配分の考え方は短答式試験の対策まとめに書いています。

論文の合格発表から口述までは約4週間しかありません。特許庁公表の出題テーマに準拠した連問式の想定問答200問と、「趣旨は?」にそのまま答えられる条文趣旨集(四法)を、音読するだけで準備が終わる形にしました。
- 口述台本:想定問答200問(聞かれる→答える→さらに聞かれる)
- 条文趣旨集 特許法・実用新案法・意匠法・商標法
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まず1冊だけ試すなら:【口述試験対策】口述は「台本」で受かる|想定問答200問(800円)
受かった方へ:口述試験まで4週間、落ちる人は毎年いる
令和8年度の口述試験は10月17日(土)〜19日(月)、最終合格発表は11月9日(月)です。論文の合格発表から口述試験まで、ちょうど4週間です。
「口述はほぼ受かる」と言われますが、数字を見ておきます。口述受験者数(前年の口述不合格者を含む)と最終合格者数の差が、その年に口述で落ちた人数です。
| 年度 | 口述 受験者 | 最終 合格者 | 口述で落ちた人 | 口述 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和3年度 | 215名 | 199名 | 16名 | 92.6% |
| 令和4年度 | 194名 | 193名 | 1名 | 99.5% |
| 令和5年度 | 194名 | 188名 | 6名 | 96.9% |
| 令和6年度 | 192名 | 191名 | 1名 | 99.5% |
| 令和7年度 | 218名 | 205名 | 13名 | 94.0% |
1名の年もあれば16名の年もあります。直近の令和7年度は13名が口述で落ちています。前年は1名でした。年によって振れ幅が大きく、「今年は落とさない年」かどうかは受ける側には分かりません。私が受けた令和3年度は、この6年で最も多い16名が落ちた年でした。
口述は、論文のように「知識の量」で差がつく試験ではありません。聞かれたことに条文と趣旨で即答できるか、詰まったときに立て直せるか、という試験です。4週間あれば十分に準備できますが、論文に受かった安心感で最初の2週間を流してしまうと、残り2週間で200問分の問答を口に出す時間はありません。
試験当日の流れ、実際に聞かれた質問、部屋に入ってから出るまでの時間感覚は、口述試験の流れと質問例に別で書いています。この記事では数字の側だけを扱いました。
まとめ:今年の論文は「短答で多く通し、論文で絞った」年
- 令和8年度 論文式 合格者は201名、合格率25.0%。6年間で最も低い合格率。
- 原因は短答側。短答合格者が355→459名(+29%)に増え、論文受験者が804名に増えたのに、論文合格者は201名で据え置かれた。
- 論文合格者数は6年間ずっと179〜211名の幅。受験者が増える年は合格率が下がる。
- 来年の論文は、今年の短答合格者459名が免除で上乗せされるため、さらに競争が増える見込み。
- 口述は10月17〜19日。口述で落ちる人は年によって1〜16名。直近の令和7年度は13名。
数字の出典はすべて特許庁の公表資料です:令和8年度弁理士試験論文式筆記試験合格発表(2026年9月18日)、令和8年度弁理士試験統計(志願者・短答受験者・短答合格者・論文必須受験者)、令和3〜7年度弁理士試験統計(論文合格者・口述受験者・最終合格者)、令和8年度弁理士試験受験案内。口述受験者数には前年度の口述不合格者が含まれるため、「口述で落ちた人」は口述受験者数と最終合格者数の差として算出しています。
