この記事は、令和3年度に1年10万円以下で弁理士試験に合格した現役企業内弁理士が実体験を元に書いています。
弁理士試験の勉強でまず当たる壁が圧倒的な量の条文の暗記ですよね。
私もかなり苦労しました。語呂合わせで覚えようにも、考える時間が惜しい。。。そんな受験生のために語呂合わせをまとめて公開していきたいと思います。
はじめに|弁理士試験と著作権法の条文暗記の壁
弁理士試験は、知的財産に関する深い知識が問われる難関国家資格であり、法文の理解と暗記は合格のための大きなハードルの一つです。
中でも、著作権法の条文は条文数が多く、細かな内容まで問われるため、受験生にとって「覚えるのがつらい分野」と言われることもしばしば。実際、私も令和3年度に企業勤務をしながら弁理士試験の勉強を進める中で、条文暗記には大いに苦労しました。
しかし、そんなときに役立ったのが「語呂合わせ」です。覚えにくい条文番号や権利内容も、リズムや連想を使って語呂に落とし込めば、記憶の定着が格段に良くなります。
本記事では、弁理士試験対策として私が実際に使っていた著作権法の語呂合わせを、条文ごとに丁寧に解説します。条文の趣旨にも触れながら、記憶の助けとなるよう構成しています。
短答試験の勉強方法はこちらにまとめています。
著作権に含まれる権利(21条~28条)|語呂合わせで一気に記憶
まずは、著作権法21条から28条に定められた「著作権に含まれる各種の権利」についての語呂合わせです。
語呂:「腹上炎上口臭デンタコテハンプジョー逮捕二次元」
ちょっとインパクトのあるフレーズですが、この語呂に各条文を割り当てると次のようになります:
条文 | 権利の内容 | 語呂部分 |
---|---|---|
第21条 | 複製権 | 腹 |
第22条 | 上演権・演奏権 | 上・炎 |
第22条の2 | 上映権 | 上 |
第23条 | 公衆送信権・伝達権 | 口臭・デンタ |
第24条 | 口述権 | コ |
第25条 | 展示権 | テ |
第26条 | 頒布権 | ハンプ |
第26条の2 | 譲渡権 | ジョー |
第26条の3 | 貸与権 | 逮 |
第27条 | 翻訳権等(翻案権) | ホ(→逮捕のホ) |
第28条 | 二次的著作物の利用に関する権利 | 二次元 |
語呂を覚えることで、各権利の条文番号と名称がスムーズに頭に入ります。
実際の条文
第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。(複製権の腹ですね。)
第二十二条 著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。(上演権及び演奏権の上と炎ですね。)
第二十二条の二 著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。(上映権の上ですね。)
第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。(公衆送信権の口臭ですね。)
2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。(伝達権のデンタですね。)
第二十四条 著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する。(口述権のコですね。)
第二十五条 著作者は、その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有する。(展示権のテですね。)
第二十六条 著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。(頒布権のハンプですね。)
第二十六条の二 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。以下この条において同じ。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。(譲渡権のジョーですね。)
第二十六条の三 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有する。(貸与権の逮ですね。)
第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。(翻訳権のホですね。)
第二十八条 二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利の二次元ですね。)
出所はこちらです。お借りしました。

この辺は語呂合わせ考えた人は優秀ですね~。
実演家の持つ著作隣接権(第89条1項)
語呂:「ろくでもない上司、騒動で逮捕」
条文 | 権利内容 | 語呂対応部分 |
---|---|---|
第91条 | 録音権・録画権 | ろく |
第95条の2 | 譲渡権 | 上 |
第90条の2 | 氏名表示権 | 司 |
第92条の2 | 送信可能化権 | 騒 |
第90条の3 | 同一性保持権 | 動 |
第95条の3 | 貸与権 | 逮 |
第92条 | 放送権・有線放送権 | 捕 |
ややブラックな語呂に聞こえますが、記憶への定着には抜群の効果があります。
実際の条文
第八十九条 実演家は、第九十条の二第一項(氏名表示権)及び第九十条の三第一項(同一性保持権)に規定する権利(以下「実演家人格権」という。)並びに第九十一条第一項(録音権及び録画権)、第九十二条第一項(放送権及び有線放送権)、第九十二条の二第一項(送信可能化権)、第九十五条の二第一項(譲渡権)及び第九十五条の三第一項に規定する権利(貸与権)並びに第九十四条の二及び第九十五条の三第三項に規定する報酬並びに第九十五条第一項に規定する二次使用料を受ける権利を享有する。(録音権及び録画権のろく、譲渡権の上、氏名表示権の司、送信可能化権の騒、同一性保持権の動、貸与権の逮、放送権の捕ですね。)

ろくでもない上司でも逮捕までするのはやり過ぎだよね~
レコード製作者の持つ著作隣接権(第89条2項)
語呂:「服装譲与」
条文 | 権利内容 | 語呂対応部分 |
---|---|---|
第96条 | 複製権 | 服 |
第96条の2 | 送信可能化権 | 装 |
第97条の2 | 譲渡権 | 譲 |
第97条の3 | 貸与権 | 与 |
「服装を譲って与える」というイメージで覚えましょう。
実際の条文
2 レコード製作者は、第九十六条(複製権)、第九十六条の二(送信可能化権)、第九十七条の二第一項(譲渡権)及び第九十七条の三第一項に規定する権利(貸与権)並びに第九十七条第一項に規定する二次使用料及び第九十七条の三第三項に規定する報酬を受ける権利を享有する。(複製権の服、送信可能化権の装、譲渡権の譲、貸与権の与ですね。)

服装をあげることをちょっと難しくした感じ。
放送事業者の持つ著作隣接権(第89条3項)
語呂:「フジテレビ放送」
条文 | 権利内容 | 語呂対応部分 |
---|---|---|
第98条 | 複製権 | フジ |
第100条 | テレビジョン放送の伝達権 | テレビ |
第99条 | 再放送権・有線放送権 | 放 |
第100条 | 送信可能化権 | 送 |
テレビ系の語呂なので、イメージしやすいです。
実際の条文
3 放送事業者は、第九十八条から第百条(複製権、再放送権及び有線放送権、送信可能化権、テレビジョン放送の伝達権)までに規定する権利を享有する。(複製権のフジ、テレビジョン放送の伝達権のテレビ、再放送権及び有線放送権の放、送信可能化権の送ですね。)

意外ときれいな語呂ができたかなあ
有線放送事業者の持つ著作隣接権(第89条4項)
この条文では、放送事業者の権利に「有線」を付け加えただけです。
ポイント:
- 対象条文:100条の2~100条の5
- 内容:複製権、放送権、再有線放送権、送信可能化権、有線テレビジョン放送の伝達権
放送事業者とほぼ同じ語呂を応用できるため、同時に覚えるのがコツです。
実際の条文
4 有線放送事業者は、第百条の二から第百条の五(複製権、放送権及び再有線放送権、送信可能化権、有線テレビジョン放送の伝達権)までに規定する権利を享有する。
弁理士試験勉強方法 語呂合わせの使い方
語呂合わせは自分用のツールとして、法文集に書き込んで活用するのがポイントです。
おすすめ法文集:「四法横断法文集」
- スペースが広く、書き込みに最適
- 条文の比較や横断学習に便利
- 多くの短答受験生にとってのバイブル的存在
まだお持ちでない方は、購入を検討されることをおすすめします。

四法横断法文集は短答受験生ならみんな持っているバイブルみたいな感じだね。
②【分析】過去10年分の短答式試験で頻出の著作権法条文とは?
著作権法は条文数が非常に多いため、すべてを同じ熱量で覚えるのは現実的ではありません。そこで効果的なのが、「頻出条文に優先的に語呂を使う」という学習戦略です。
ここでは、過去10年分(令和4年度〜平成25年度)の短答式試験を分析し、出題回数が多い条文上位15本を以下の表にまとめました。
🔍 短答式試験における著作権法の頻出条文ランキング(過去10年分)
ランク | 条文番号 | 条文タイトル | 出題回数(10年中) | 備考 |
---|---|---|---|---|
1位 | 第114条 | 差止請求権 | 9回 | 語呂+趣旨理解が有効 |
2位 | 第30条 | 私的使用のための複製 | 8回 | 頻出中の頻出、語呂必須 |
3位 | 第62条 | 出所の明示 | 7回 | 微妙な例外規定に注意 |
4位 | 第21条 | 複製権 | 7回 | 基本条文。語呂より理解重視 |
5位 | 第119条 | 罰則 | 6回 | 条文数が多いため語呂重要 |
6位 | 第113条 | 技術的保護手段の回避 | 5回 | 例外規定が多く語呂有効 |
7位 | 第26条 | 上映権、頒布権 | 5回 | 混同しやすいため語呂有効 |
8位 | 第28条 | 二次的著作物の利用に関する権利 | 4回 | 他条文との関係性に注意 |
9位 | 第47条の7 | リバースエンジニアリングの特例 | 4回 | 新しいが近年頻出、要暗記 |
10位 | 第17条 | 著作者の権利の原始的帰属 | 3回 | 出題の年は正確さ求められる |
11位 | 第10条 | 著作物の定義 | 3回 | 初学者が混乱しやすい条文 |
12位 | 第18条 | 氏名表示権 | 2回 | 趣旨とのリンクが重要 |
13位 | 第116条 | 損害賠償請求 | 2回 | 差止請求権とセットで出る |
14位 | 第40条 | 時事の事件の報道のための利用 | 2回 | 出題時は細かい文言注意 |
15位 | 第102条 | 出版権の設定・効力 | 1回 | 頻出ではないが一応抑える |
他の分野の語呂合わせもチェック!
他の法律や制度についても、語呂合わせを活用しています。以下のリンクからご覧いただけます:
まとめ|語呂合わせで楽しく覚えて合格をつかもう
著作権法は条文の数が多く、一つひとつ覚えていくのは大変ですが、語呂合わせを活用すれば効率的に学習が進みます。
今回紹介した語呂は、私自身が弁理士試験の勉強をする中で助けられたものばかりです。ぜひ、ご自身の法文集に書き込んで、繰り返し使ってみてください。
今後も、新しい語呂合わせを思いついたり、記憶から掘り起こしたりしたら、どんどん紹介していきたいと思います。
それでは今日も、楽しく知財の勉強を進めていきましょう!
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